●シンVS上田の猪木レフェリー&猪木VS上田「釘板デスマッチ」をアピールする上田馬之助の手に握られていたボードについて熱く語る。

末尾ルコ「プロレスの話題で知性と感性を鍛えるレッスン」

プロレスのレフェリーについて考えていて、ふと思い出したのが、アントニオ猪木がレフェリーを務めた「タイガー・ジェット・シンVS上田馬之助」の試合。
だいたいプロレスというものは、「限られたレスラー」でできるだけ興行を長引かせなければカードが組めなくなるものだから、特に「仲間だったレスラー同士の仲間割れ」でファンの関心を引き続けることしばしばだったのです。
別に「仲間割れ」を演出しなくともカードを組めばいいじゃないかと、今となっては微笑んでしまうが、わたしも子どもの頃は時折起こる「仲間割れアングル」で盛り上がっていたものだ。
「タイガー・ジェット・シンVS上田馬之助」ももちろん「仲間割れアングル」の文脈の中で行われたわけだが、「この二人の試合を普通のレフェリーが裁けるわけがない」的な理由を捻り出し、「アントニオ猪木レフェリー」でさらに興行人気を盛り上げようとしたわけなのですね。
それで試合がどうなったかと言えば、「アントニオ猪木の独演会」です、はい。
シンと上田が凶暴ファイトを展開する前に猪木が割って入り、殴る蹴るのやり放題!(←わたしの記憶ではそうなっている)
シン、上田にいつもの見せ場なく、いつもど真ん中にいた「猪木が大暴れ」という印象しか残らなかった。
まあ、それはそれで楽しい試合だったとも言えるが。

猪木と上田馬之助と言えば、「釘板デスマッチ」もファンの心に焼き付いており、今では「チケットの前売りがとても悪かったので急遽考案された」という話が出回っているが、一番可笑しかったのは、「釘板デスマッチ」がまだ発表されてない週のテレビ放送で上田馬之助が放送席まで来て「釘板デスマッチで決着つけようぜ!」的アピール。
しかしその手にはしっかりとイラスト化された「釘板状態」のボードが握られていたわけである。
「う、上田さん、その印刷されたイラストは、あなたが描いたの?」と、放送席はツッコむべきだったのだが。