●女子プロレス史上最高のエロスは、井上貴子か、キューティー鈴木か?

末尾ルコ「エロティシズムとプロレスの話題で知性と感性を鍛えるレッスン」」

女子プロレスの起源を辿れば、男性のエロな欲望に応える見世物だったのは間違いないが、しかし日本の場合比較的早い段階で「女の子の憧れ」的ポジションを獲得して特殊な世界となったのは興味深い。
さらに興味深いのは、全日本女子が中心となった対抗戦ブームの時期、「女の子のファン」はすっかり見当たらなくなっていた。
わたしが女子プロレスを凝視していたのは対抗戦前後の時期だけと言ってよく、それ以前に女子プロレスの会場がどのような状態になっていたかは知らないので、恐らくすでにいろいろ語られているのだろうけれど、「女の子のファンがいなくなった理由」に関してはとても興味がある。
それはさて置き、男性が女性のスポーツを観る場合、女性が男性のスポーツを観る場合、あるいはゲイの人たちであれば、同性のスポーツを、ということになるのだろうが、「試合内容そのものだけ、スポーツ技術そのものだけ」を楽しんでいる人は少数派だろう。
特に選手個々に興味を持つ場合は、「その性的魅力に惹かれる」場合が多くあるはずだ。
しかしエロティシズムの観点から見ても、「どんな対象に性的魅力を感じるか」は人それぞれであって、そこが難しくも極めておもしろい部分でもある。
もちろんブル中野やアジャ・コング、ダイナマイト関西らに性的魅力を感じていた人もいるだろうが(多分)、男性ファンにとって、当時の全日本女子では、
井上貴子
豊田真奈美らであったろうし、

ある意味、選手たちの性的魅力を売り物にしていたJWPならば、

キューティー鈴木
プラム麻里子
福岡晶などだったと言える。

この中でプロレスラーとして飛び抜けた才能を持っていたのは豊田真奈美だった。
プロポーションも抜群だったのだが、顔立ちは悪くはないけれど、美的に画になるタイプではなく、その意味では、技術的には高くなかったけれど、井上貴子が髪を振り乱してラフファイトをする時に醸し出す凄愴美にはなかなかのものがあったと、まあそんなことをふと思ったわけですな。
ちなみに当時プロレス以外のメディアにもよく登場していたキューティー鈴木だが、試合がいささかかったるかったのと、あそこまであからさまなアイドル顔では、わたしの興味は惹かなかった。
というだけの話ではあるが。