●雑誌『ダ・ヴィンチ』8月号、プロレス特集から平成のプロレスファンのメンタリティを類推する。


末尾ルコ「プロレスの話題で知性と感性を鍛えるレッスン」

雑誌『ダ・ヴィンチ』の8月号でプロレス特集があった。
次のような内容である。

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(『ダ・ヴィンチニュース』より)

●特集2
明日生きる力、もらいました!
ありがとう、プロレス

◎なぜ、プロレスは観る者の心を熱くするのか?
◎[座談] 内藤哲也が、L・I・J(ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン) のパレハ(仲間)とともに見つめるもの
◎人はいかにしてプロレスラーになるのか? オカダ・カズチカ
◎マンガ ヤングライオン奮闘記
◎プロレス団体群雄割拠 いま注目したい選手たち
◎DDTプロレスリングの魅力とは?
[対談]山里亮太(南海キャンディーズ)×高木三四郎
◎プロレスが作った美しい体 飯伏幸太
◎真壁刀義は、なぜスイーツ真壁であり続けるのか
◎棚橋弘至が体現する、プロレスの過去・現在・未来
◎[プロレスありがとうインタビュー]
西 加奈子/ハロルド作石/天野純希/樋口毅宏/黒木あるじ/奥野瑛太/佐藤 究/松井珠理奈/博多大吉

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『ダ・ヴィンチ』は、月刊の総合文芸誌にカテゴライズされているが、「流行りもの」の特集を組むことも多く、今回のプロレス特集もその一環だと言える。
項目を見ていただけたらお分かりだろうが、近年継続的に出版され続けている「昭和プロレス検証」的な内容はまったくなく、まさに「平成のプロレス」に特化した内容だ。
かつてのプロレスに熱中していたわたしとしては、なかなか「平成のプロレス」を心から愉しむとはならないが、一番興味があるのが、「平成のプロレスファンが今のプロレスに何を求め、何に熱狂しているか」という点であり、そうした要素を推し量る材料としてはこのような企画は役に立つ。
特集のタイトルが、

「明日生きる力、もらいました!
ありがとう、プロレス」

ということで、まあ何となく現在のプロレスファンのメンタリティが大雑把に理解できる気もするが。
例えばわたしが小中高生の頃、もちろんプロレスに「明日を生きる力」の一端はもらっていたが、「明日生きる力、もらいました!
ありがとう、プロレス」といった表現にはならなかっただろう。
何と言うか、プロレスに対してもっと「畏れ」を抱いていたし、ずっとタフ、もっと言えば、常人の枠を大きく超越した存在であり、それを享受している自分自身も、「今よりもずっとタフに、そして常人を超えた存在に少しでも近づきたい」と思い、それへ向かって日々努力していたものだ。
もちろん多くの偉大な(と思っていた)プロレスラーたちは、年齢を重ねるにつれてどんどんショボくなっていくのだけれど、そうしたことがあからさまになってくるのはずっと後のお話。
対して現在のプロレスに対する、「明日生きる力、もらいました!ありがとう、プロレス」という言葉から連想するのは、(やはりJ POPかなあ・・・)というものなのだけれど。

しかしプロレスに限らず、非常に興味深い「現在と過去」、そして「未来」・・・今後もこの視点をより強化していこう。