●それは決して「性のテクニシャン」ではなく、わたしが「プロレスのテクニシャン」だった中学時代のスキルを公開。

末尾ルコ「プロレスの話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

わたしの中学時代のプロレス修行に関して反省していることがある。
今までわたしが「得意技としたかった」技として、「エルボー攻撃」と「クロウ攻撃」について言及したが、(う、考えてみれば、何と単純な技ではないか、二つとも)と思い至ったのである。
いや、「エルボー」も「クロウ」も自由自在に使いこなすためにはしっかりした修練を必要とする。それは分かっている。
けれど取り敢えず、「エルボー攻撃は肘落とせばOK」「クロウ攻撃は相手を握ればOK」と、誰でもできるではないか!
当時の日本のプロレスメディア、プロレスファンの間では、「テクニシャンこそ至上」という基本的合意があった。
わたしとて当時はその合意の中にいたわけであり、テクニシャンとしての技を磨こうという意志がなかったはずがない。
というわけで、記憶のヴェルサイユ宮殿へとしばし没入したところ、出てくるわ、出てくるわ、わたしが練習したプロレス技の数々。
(中学時代の俺も捨てたもんじゃないぜ・・・)とちょっとしたことで自信を取り戻すわたしです(山田姉妹「みずいろの手紙」風に)。
そう、エルボーやクロウでワイルドでタフな面を見せながらも、そのベースはオーソドックスなテクニシャンだったというのが中学生レスラーとしてのわたしだったのだ。
対戦相手と対峙し、しかしわたしはすぐにロックアップ(互いにがっしり組み合う)したりしない。
相手の腕を掴むカモフラージュをしながらも、膝を曲げ体を落とし、するりと相手の側面を抜けてバックを取る。
その時観戦していた数人(とほほ)の客から、

「おお!テクニシャンやにゃあ!(←ナチュラルな土佐弁)」

と声が上がる。
その時の誇らしげな気分と言ったら!
なるほど、それを思い出せば、理解できないでもない。
リング上で歓声を浴びるという快感。
中学校の教室で、最大20人、通常は3~5人(とほほ)の観客の前で行っていた「プロレス」でさえもわたしは充分な快感を味わっていたのだから。

というわけで、危険なので、あなたは決してプロレスごっこをしてはいけないけれど、「どことなくテクニシャン風」に見えるムーヴをここに記そう。

・相手の側面をするりと抜けてバックを取る。
・両脚を使ったカニ挟みで相手を倒す。
・仰向けになった相手の片足を取り、できるだけカッコよく、捻じったり折り曲げたりしてみる。

もちろんまだまだいくらでもある。
そしてこのようなことをいい大人が知っても何の役にも立たないようにも感じるだろう。
しかしこの世界、どんなことでも役に立てようと思えばそれは可能なのである。