●『カサンドラ・クロス』の「微妙なキャスト」を楽しんでこその映画ファンであると主張!

末尾ルコ「映画の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

映画『カサンドラ・クロス』は出演俳優が豪華だけれど、その豪華さが当時のスーパースター、スティーヴ・マックイーン、ポール・ニューマン共演の『タワーリング・インフェルノ』とはまったく異なり、主演がリチャード・ハリスという辺りで既に微妙で、この俳優はもちろん世界的スターなのだけれど、「大スターか」と問われれば、決してそうは言えない。
もちろんどんな基準で「大スターか」という問題はあるにしても。
主演女優のソフィア・ローレンはもちろん映画史に残る大女優なのだけれど、結局「イタリア人である」ということは、どうしてもハリウッド女優のようなポジションにはならないという映画の世界で不文律の仕組みは存在する。
そして、バート・ランカスター、イングリッド・チューリン、エヴァ・ガードナー、マーティン・シーン、アリダ・ヴァり・・・並べると、(凄い!)というメンバーだが、しかし「この時点で」の共演というのが微妙で、その微妙さがなぜか可笑しい、映画ファンなら十分にその可笑しさを楽しめる作品なのだ。