●末尾ルコ「平成史」~と言っても、今回は、平成前夜(1988年)の日本映画界ヒット作品とアニメ、『ラストエンペラー』などについて語るし。

末尾ルコ「平成&昭和史と映画の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

カルガリー五輪が1988年ならば、『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』で描かれたトーニャ・ハーディング事件で盛り上がったのはいつだったかと思ったら、1994年のリレハンメル五輪だった。
『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』のマーゴット・ロビーはトーニャ・ハーディングとは似ても似つかぬセクシーな美形女優ではあるが。

では、平成元年の前の年、1988年の話題に戻ろう。
映画、日本配収トップ10は次の通りとなっている。
1『敦煌』
2『ラストエンペラー』
3『ランボー3 怒りのアフガン』
4『優駿 ORACION』
5『危険な情事』
6『いこかもどろか』
7『あぶない刑事』
『七福星』
8『ウィロー』
9『ドラえもん のび太のパラレル西遊記』
10『ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎狂騒曲』
『はいからさんが通る』

アニメが『ドラえもん のび太のパラレル西遊記』だけである。
これが2016年の興行収入を見ると、トップ10に

『君の名は。』
『名探偵コナン 純黒の悪夢』
『映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』
『ONE PIECE FILM GOLD』
に加え、
『ズートピア』や『ファインディング・ドリー』などのハリウッド製アニメも入ってくる。
アニメだらけである。
「アニメもけっこう」だけれど、「アニメだらけではダメ」というのがわたしの主張なのであり、この主張はけっこう「当然」のことなのだと思うが、この「当然」がなかなか通らないのが今の日本であるのだが。

1988年のトップ10に戻ると、

1位の『敦煌』 は『天と地と』と並び、「前売り商法」で見かけ上の成績を伸ばした作品として知られている。
そのようなことをして何の意味があるのかと当然思うのだけれど、業界人にとっては重要なことだったのだろう。

『敦煌』は第12回日本アカデミー賞で、最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞などを獲得している。
同年に評価の高かった作品として、大林宣彦監督の『異人たちとの夏』があり、こちらの方が各賞を獲るべきだっただろう。

『優駿 ORACION』は斉藤由貴の主演、『はいからさんが通る』は南野陽子主演と、期せずして『スケバン刑事』が揃ったが、そう言えば、『優駿 ORACION』はかなりの宣伝をやっていたことを覚えている。
『いこかもどろか』は明石家さんまと大竹しのぶの共演で、わたしは(アホクサ)と感じていたので鑑賞してないが、チェックしてみると、比較的評価は高かったようだ。
そのうち観てみようかな、機会があれば(ふふふ)。
まあなにせ、2位にベルナルド・ベルトルッチ監督の『ラストエンペラー』が入っているのが現在では考えらないことで、いかにアカデミー賞を獲っても、「ベルナルド・ベルトルッチ」の「歴史大作」が大ヒットなんて、1988年の方が日本の文化状況「ずっと高かった」と、単純に断じてはいけないけれど、断じたくなる。

ところで『あぶない刑事』と『ビー・バップ・ハイスクール 高校与太郎狂騒曲』には仲村トオルが出演していて、この人なんか今ももっと活躍していてほしいのだけれど。