●5月の異常な強風の日、わたしは日本の空き家対策に想いを馳せ、さらに「キンチョール」の的確な使用法についても思考した。

末尾ルコ「日常描写の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

5月19日から20日、高知は朝から晩まで、異常な突風が吹き荒れた。
3月、4月の春一番の時期であればまだしも、5月も後半にさしかかる時期である。
朝から晩まで、さらに翌日に至るまで間断なく強風が吹き荒れたことなどあっただろうか。
あっかかもしれないし、これが初めてかもしれない。
わたしはデータを取っているわけではないから、当然ながら断言はできない。
それにしても予想外の強風は決して嬉しいことではない。
台風ほどではないだけに、心の準備もしっかりとはできてない。
そこが自分の甘さだとも言えるのだが、「北の風やや強い」くらいの予報ではなかなか万全の準備をする気にはならないものではある。

その日は終日、北の方の空が「ごおおっ、ごおおっ」とうねっている音を出し続け、そんな荒天も気分によっては愉しめるのだけれど、諸事情あって、今はその心の余裕がない。
さらに困ったことに、うるさいのは強風の音だけではない。
近所に空き家があるのだが、その家はいくつかの温室を備えていて、しかし既に人はいない状態が続いているから崩壊寸前である。
特にプラスチック製の屋根があちこち剥がれかかっていて、多少の風でもバシバシギシギシかなりの音を出す。
安眠妨害はもちろん、起きている時間も実に神経を逆撫でする。
わたしの家に一番近い空き家がそんな状態なのだが、他にも近所だけでいくつか空き家が存在し、かなりヤバい状態になっている。
「朽ちていく家屋」に芸術的魅力を感じることはあるが、台風時など災害時にどれだけ危険な状態になるか考えたら、(う~ん、「アッシャー家の崩壊」)などとデカダンな気分に浸ってばかりもいられない。

例年蚊の季節になれば、アースのリキッド式蚊取り(蚊殺し?)アイテムを使うのだが、今年は今のところスプレー式を使っている・
なぜかと言うと、家の中に未使用のスプレー式(「キンチョール」などですね)を3缶発見したからだ。
噴射するたびに室内に薬品が拡散し、身体に悪そう・・・なのではあるが、蚊が近寄ってきた時に直接プシューとやれる爽快さはある。
ただ多くの場合、(来た!)と思ってスプレーを手にするまでに蚊はどこかへ行ってしまっているものである。
家の中に入った蚊の位置を常に的確に把握する能力が身に付られれば、スプレー式蚊殺しも無駄なく活用できるのだが、などと独り言ちる日本の5月ではある。