●母の頭部MRIと頸動脈エコー検査付き添いのわたしと病院の待ち時間、そして人生。

末尾ルコ「医療・健康と人間観察の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」


6月某日、わたしは母の定期検査で病院へ足を運んだ。
高知市の総合病院だ。
80歳を超えている母はいろいろな病気をやってきたが今もピアノや短歌、コーラスなどに熱を入れていて、息子のわたしとしてはできる限りサポートしていくことに決めている。
2か月に一回の定期検診で、普段は血液検査のみ、半年に一回は頭部MRIと頸動脈エコー検査をするのが現在のパターンとなっている。
要するに、「動脈硬化進行を抑える」ことが現在の最重要課題となっているわけだ。
まあしかし、総合病院というもの、待ち時間がなかなかのものである。
血液検査だけであってもだいたい午前8時に病院へ入り、採血し、医師の診察を受けて薬局で薬をもらって帰るのが午前10時~10時半くらいになる。
これが半年に一回の頭部MRIと頸動脈エコーを含んだ日となると、正午を越してしまうのを覚悟しなければならない。
ただ付き添いで行って、待っているだけの身にはなかなかの長時間である。
検査所要時間は、頭部MRIも頸動脈エコーも30分前後だが、今回は前者の予約時間が午前10時半、後者が11時となっていて、その後に診察だから、正午を越すのは確実だろうと思われた。
なぜか頭部MRIは早めに検査室受付へ行けば、予約時間よりも早く検査を始めてくれることが多く、今回も10時前にはやってもらえた。
ところがいくら頭部MRIが早く済んでも、頸動脈エコーは定時にやるようになっている。
今回10時20分程度にMRIは終わったけれど、それから約40分間病院のロビーでじりじりと時を過ごすことになる。
もちろん待ち時間を見越して、仕事道具や、本、新聞などを持ち込んではいたが、どのような場合でも、「はっきり時間が決まっていれば」、腹を括れるのだけれど、「いつになるかはっきりしない」のは別種の疲れがあるものだ。
結局頸動脈エコーが終了したのが11時20分くらい。
しかし検査が終了しても、医師が「検査結果の資料を作る」時間が曲者で、さらに15分程度は時間を費やした。
幸い今回の検査もさしたる検査結果はなく、と言っても年齢も年齢なので、「正常値でない」数値は常にいくつかあるけれど、まあそれらは今後の努力目標としていこうということで。

同病院は自宅から最寄にあるので、時に近所の人の姿を患者として見かける。
今回もわたしが小さな頃から馴染んでいるご婦人がとても悪い顔色で、車椅子で運ばれている姿があり、その婦人は母とわたしを見つけ、自分の頭部を指さしながら、「こんなになってしもうた」と力なく言った。
やはり少し哀しい。