●エミリー・ブラント『クワイエット・プレイス』、9月日本公開にむけてのプチエッセイ。2

末尾ルコ「映画の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

映画『クワイエット・プレイス』主演のエミリー・ブラントという女優は「とても綺麗」である。
しかしわたしには、「エミリー・ブラントは美しい」と溜め息交じりには語れなかった、『クワイエット・プレイス』以前は。
その理由はここでは置くとして、わたしがエミリー・ブラントを初めてしっかりと認識した映画は『ヴィクトリア女王 世紀の愛』の「ヴィクトリア女王」役だったが、多くの映画賞で主演女優賞にノミネートされ、中には受賞したものもあるが、わたしはさほどいい印象を持たなかった。
そりゃあ顔立ちはとてもいいけれど、「鈍い」印象が強かったのだ。
『ヴィクトリア女王 世紀の愛』以前にエミリー・ブラントは『プラダを着た悪魔』でゴールデングローブ賞助演女優賞にノミネートされているが、メリル・ストリープとアン・ハサウェイの陰に隠れて、どうしても強い印象は与えられなかった。