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●「番犬」の理不尽について語り、「幻の強烈色香」墨田ユキ90年代コメディ映画『免許がない』のユルさにいささか唖然とする。 [「言葉」による革命]

●「番犬」の理不尽について語り、「幻の強烈色香」墨田ユキ90年代コメディ映画『免許がない』のユルさにいささか唖然とする。

末尾ルコ「映画の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

犬は犬であり、「今日のわんこ」などという甘えた言い方は好きではない。
というのは、幼い頃に犬に追い駆けられた経験を持つわたしならではのトラウマ的反応であるかもしれないが、しかし「番犬」という存在、時に極めて理不尽で暴力的である。
なにせわたしのような善良な市民に対してもでっかい声で吠えてくる。
その家へ入ろうとしたわけでもなく、その家の前の通りを歩いているだけででも、である。
心臓に悪いんですけど、あれ。

ところで、『免許がない』という映画を観たのだが、わたしの興味は、同作品くらいの年代のコメディ映画はどのようなレベルだったのかということと、新藤兼人監督の『濹東綺譚』で一躍注目女優となりながら、諸事情ですぐに消えていった墨田ユキを「今、観たらどうか」という点である。

免許をまだ取ってない映画スターが、(これではまずい)ということで、自動車学校の合宿に参加するというコメディである『免許がない』の監督は明石知幸で脚本が森田芳光、1994年の公開作だ。
1994年と言えば、平成6年であり、 へえ~、これ、昭和の映画かと思っていた。
キャストは、舘ひろし、墨田ユキ、西岡徳馬、片岡鶴太郎、江守徹、中条静夫、秋野太作、五十嵐淳子など。

で、コメディ映画としての『免許がない』であるけれど、実にゆるゆるで、容易には笑えない(笑)内容だった。
少なくともこの作品の片岡鶴太郎や江守徹では笑えないし、主演の舘ひろしも同様である。
要するに、『釣りバカ日誌』シリーズの三國連太郎や西田敏行のような、(この俳優がやっているのだから)という信頼関係が構築できないのですな。
特に江守徹の大仰な演技が寒かった。
最近よく観ているのでつい比べてしまうのだけれど、森繫久彌の社長シリーズの映画的なコクのある撮影、名人芸のごとき脚本と心地よい演出のテンポ・・・こうした要素に欠けているのが『免許がない』という作品だと言える。
もう一つの注目点、「幻の女優」墨田ユキだけれど、この人のフェロモンはなかなかに凄まじかった。
こうした猛烈な色香も、今の日本映画界に存在しないものだ。
と言うか、結局墨田ユキが活躍した期間は10年もなかったのだけれど。
ただ残念なのは、『免許がない』で墨田ユキの出番はさほど多くなかったし、墨田ユキがらみのギャグも笑えなかった。
墨田ユキは自動車学校の指導員の一人として出てくるのだけど、「あなたのバックはどう?」的なギャグもひねりがなく、中高生のにいちゃんのしょうもない会話を耳にしているような感があった。


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いっぷく

>心臓に悪いんですけど、あれ。

これは結構切実な人がいるとおもいます。あと「放出散歩」と称して公道に糞尿のさせ放題ですが、糞を片付けないのは論外で、尿にしても、何かチッチと撒いて済ませますが、公共の道路は確実に汚れています。私は私道や駐車場で糞尿はやられているので、糞尿散歩をさせることについては、正直愉快ではありません。

>免許がない

観たのですが、内容は忘れてしまいました。普通は覚えて何か論評できるまで何度も見るはずなので、たぶんあまりおもしろいと思わず、面白いところを探してみようという気にもならなかったのだろうとおもいます。墨田ユキは確か、太ももだかふくらはぎだかをアップでうつすシーンがありましたね。そこは何となく覚えています。
江守徹に至っては出演していたことすら忘れてしまいました。
江守徹は非常に用心深い人で、シャイで、でも適度なサービス精神のある人だというイメージです。ビートたけしには何か付け届けをしていたらしく、たけしが礼を言うシーンがテレビ番組でありました。わざわざたけしが番組中にそんなことを言うのは、「俺の映画に出たかったらそれぐらいしろよ」と俳優たちに暗に示しているのかなとおもいました。
「パパと呼ばないで」では、石立鉄男の同僚で重要な役なのに、終盤急に出なくなるのです。マニアの間では杉田かおるとの不仲が噂されたこともあるのです。杉田かおるは、京塚昌子やキャッシー中島などともトラブルがあったようなので、子役でも侮れません(笑)
美容雑誌の表紙を作っていたとき、江守徹に2万円でモデルと巻頭インタビュー依頼したら、引き受けてもらったのでそのことを聞いたのですが、直接は教えてくれませんでした。でも、こちらが聞きもしないのに、「昔のことだから忘れちゃった。今でも収録で会えば、杉田くん、大きくなったねえぐらいのことはいうけどね」と、杉田かおるのことは聞いていないのに自分から言い出すのです。要するに「自分からは言えないけど察してよ」ということかなと解しました。当時NHKの大河ドラマにもでていたので、スケジュールの問題もあったのかもしれませんけどね。
文学座で目標にしている俳優はいるかと聞いたら、「いない」と言ってましたね。まだ杉村春子も北村和夫も加藤武も存命の頃ですけどね。今は文学座がどうなっているかわかりませんが、順番から言ってもう江守徹が代表になるしかないだろうとおもいますけど。まさか渡辺徹というわけには……

>丸美屋の『五目釜めし』

即席モノと思って最近まであまり問題にしていなかったのですが、試しに買ってみたら意外とイケた、といったところです。具材の種類が多い「五目釜めし」の方が「とり釜めし」よりもお得感があるかもしれないですね。電気釜で作る「釜めしの素」も使うことがあるのですが、使うと後の釜の掃除が大変なので、ご飯付きはやはり手軽です。
by いっぷく (2018-07-13 04:33) 

ぽちの輔

ボケッとしてる時に吼えられるとビックリしますね。
一声鳴くだけならビックリして終わりますが
キャンキャン鳴き続けたら腹が立ちます^^;
by ぽちの輔 (2018-07-13 06:51) 

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