●夏を少しでも涼しく納涼お薦め映画~『悪魔のような女』。

末尾ルコ「映画の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

アンリ・ジョルジュ・クルーゾーの『悪魔のような女』は1955年公開の映画であって、それは当然わたしが生まれるよりもずっと前なのだが、この恐るべき恐怖スリラーを映画館で鑑賞できなくて、ひょっとしてわたしはラッキーだったのかもしれない。
わたしが『悪魔のような女』を初鑑賞したのは恐らくレンタルビデオでだけれど、怖かった、心底震え上がった・・・という意味では、わたしの映画鑑賞史の中でも屈指である。
シモーヌ・シニョレとヴェラ・クルーゾーの2人が素晴らしいことは言うまでもないが、モノクロ画面に宿る美と恐怖を極限まで高め上げたクルーゾー監督は凄過ぎる。
映画館で観ていたら、いったいわたしはどうなっていたのか・・・。