あの日の父親はそれまで見たことがないほど怖かった。
普段はあまり喋ることもなく、まして声を上げることなどまったくと言っていいほどなかった父親が顔を真っ赤にして怒鳴ったのだ。
「瑛次!どういうつもりだ、これは!」
いつものように母親にやんわりとたしなめられて終わりだと思っていた瑛次は小便を少しだけ漏らした。
大声で泣こうにも声が出なかった。
声を出すと父親に殴られそうな気さえしたのだ。
瑛次の喉にはただ何度も嗚咽が上下していた。
父親はその秋、10月に死んだ。

今の瑛次。
35歳の瑛次に小学3年生の瑛次が混入する。

※この作品の中には現実のアンチエイジング方法や健康法などが出てきますが、その作品中で言及される効果などに関してはあくまで小説上のできごと、つまりフィクションであるとお考えください。
実際の効果には、個人差などがあるものだと思われます。