●NEVER無差別級6人タッグ王座、「10人タッグマッチ」、「3WAYタッグマッチ」などについて考えながら、「あること」を思い出す。

末尾ルコ「プロレスの話題で知性と感性を鍛えるレッスン」

新日本プロレスは、NEVER無差別級6人タッグ王座を管理していて、つまり3対3で行う試合にチャンピオンを認めているのである。
現在のチャンピオンは、内藤哲也率いるロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのSANADA、EVIL、BUSHIのトリオで、EVILは現役の日本人プロレスラーの中では唯一と言ってもいい、わたしが贔屓にしている選手である。
EVILのどこがいいかと言えば、最も短く纏めれば、「観ていておもしろいから」に尽きるのであり、別にEVILが高度な技や危険な技を連発させるからではない。
それはさて置き、今のプロレス団体、多様な企画でファンの注目を引かねばならないのは分かるが、「6人タッグチャンピオン」とか言われてもなかなか盛り上がれないのは、ひょっとしたら10代、20代のプロレスファンも同様ではないかと、タイトルマッチを観ながら感じた。
新日本プロレスは「10人タッグマッチ」や「3WAYタッグマッチ」などもしょっちゅうやっているようで、しかしこうした試合に感じる「忙しさ」に、いつもわたしは無感情になってしまうのである。
その意味で、「無感情にしてフラットな時間」を創るためには、新日本プロレス観戦はかなり役に立つ。
と言うのは皮肉に過ぎる書き方で、命を懸けて試合をしているレスラーたちにはとても失礼に当たるけれど、実際「そんな気持ち」になることが多いのも事実なのだ。
ただ、「6人タッグ」という試合形式は、テレビで観てもおもしろくないけれど、試合会場で観戦すれば、ある程度は楽しめるのも事実である。
わたしがティーンの頃(ふふふ)にプロレスを生観戦していたのは高知県民体育館だったけれど、会場へ入ると「今日のカード表」的なものを手渡され、高知での興行だからメインイベントが6人タッグだということがしばしばで、それを見た瞬間には(ちっ)と感じるけれど、試合を観ればそこそこ楽しませてくれたものだった。
その意味では「場外乱闘」も、テレビで観てもつまらないけれど、「会場の観客を盛り上げる」ためには大きな役割を果たしていたのである。