●三木のり平がホモセクハラの被害に?『続・社長紳士録』を鑑賞後、加藤綾子女優天候、いや転向は可能か否かをちょっとだけ語る。

末尾ルコ「映画の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

『続・社長紳士録』は社長シリーズの21作目で、「これでシリーズ終了」予定の作品のはずだったという。
ところが同作品も大好評で、継続が決定、結局その後に10作以上が製作されたと映画史は語っている。
それも当然という『続・社長紳士録』の時間を忘れるおもしろさだ。
社長(森繫久彌)が新潟出張するという展開の中、新潟の芸者たちの舞や日本海側の風景、そして空気感が的確に織り込まれていく。
ギャグも快調で、特に三木のり平の一挙一動が笑わせてくれる。
取引相手のフランキー堺に男色の気があるという設定が愉しく、三木のり平の隣に座るや、絶え間なく耳をくすぐるというとんでもないセクハラ・パワハラの所業に出て、もちろん現実世界では許されないが、そこは映画ということで。
それにしても、小柄、ちょび髭、そして頬のこけた「おじさん」そのものの外見の三木のり平が途中拗ねたり、セコい術策を講じようとしたりと、つまり「セコさがカワイイ」という域に達していると見受けた次第である。

ところで何と「映画出演250本以上」というキャリアを誇る森繫久彌だけれど、わたしにとってはかなりの年齢に達してからの森繫から知ったわけで、いろいろな意味で(自分の人生とはあまり関係ない俳優)というイメージがあった。
つまり森繫久彌という俳優のイメージは、「頑固なおじいさんで、舞台で『屋根の上のバイオリン弾き』を長年やっている人」であって、社長シリーズのような軽妙なコメディを得意としていたとは想像もつかなかったのだ。
しかもプロフィールをチェックすると、「NHKアナウンサーだった」とあるではないか。
つまり現在で言えば、「武田真一」が俳優になるようなものではないか(笑)。

そう言えば、元フジテレビアナウンサーの加藤綾子が女優になるのならないの言っているらしいくて、さらに目標として「野際陽子」挙げているという。
加藤綾子が女優って、普通は「無理、無理!」と手を振るのが当然だが、ものごとどうなるか分からないので即断はよしておこう。
しかし野際陽子の場合もわたしが知った頃には「女優」以外の何物でもなく、アナウンサー臭など一切なかった。
「添え物」的な存在でよければ、ある程度名前が売れている人は誰でも映像作品へ参加できる可能性があるが、「顔面にアナウンサーです」と書いている間は誰も「俳優」として認識しないものである。