●『NHK スペシャル 人類誕生』の中の不適切な言葉、あるいは芸能人出し過ぎの問題、そして『SWITCHインタビュー』の山田洋次×蒼井優対談。その2。

末尾ルコ「映画の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

5月14日、NHK『おはよう日本』の「まちかど情報室」というコーナーで保里小百合が「楽しい液体」を紹介していた。
ふ~ん、「楽し液体」ね・・・。
いや別に、だからどうだというわけではないのだが。

『NHK スペシャル 人類誕生』の中の不適切な言葉というのはつまり、

「これが最古の~である」といった言い方である。
この言い回しが、常にいかにも容易に使われるのだが、どう考えてもおかしいでしょう。
遺跡にしても化石にしても、あるいは人類の祖先とされる生物の骨などにしても、地球上に存在するすべてを調べたわけでもないし、調べられるはずもない。
そうであれば、

「見つかっているものの範囲では最古の可能性が非常に高い」

くらいの表現でなければおかしいと思うのだ。

考古学や歴史学などの学問分野はそもそも非常に曖昧なもので、「正解はない」が正解なのだと思う。
研究に科学的手法も取り入れられているにしても、「~だ」と断言できるものはほとんどないのがそうした学問なのではないか。
もうちょっと謙虚になってほしいのだね、わたしとしては。

『SWITCHインタビュー』の山田洋次×蒼井優対談でもう一つ印象的だったのが、昨今日本の映画、ドラマ問わず、

「主役が20代、あるいは20代前半の場合が多い」ということで、二人ともこの状況には非常に強い不満を持っている様子だった。

実際は必ずしも20代の主役ばかりではないと思うのだが、特に売れ線の映画ではどんどん新しい男女優が使われている印象は強い。
それと、成熟した、本来は花も実もある俳優たちの出番が少ないという状況は、国レベルで大きな文化的損失でもある。
もちろん映画の内容によっては、あたかも「若ものしかいない」ような世界観もOKだけれど、現在の日本映画界の状況は、単に社会の幼児化に映画界が迎合しているのに過ぎないのだと思う。
さらに問題は「歌の世界」であって、ガールズグループのあまりと言えば、あまりな跋扈と、そうした若いグループにけっこうな大人が熱中することを、「少女は巫女的存在」などと脱力ものの屁理屈をつけて正当化する「指揮者」の問題も今後語っていこう。
(ガールズグループを「たしなむ程度に観る」くらいなら悪くはないが、やはりいい大人が身も世もないほどに熱中するのはどうかという話である。そしてその点以外にも様々な問題が内在している)