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生死にかかわるほどの「内心の声」とは? おおたか静流の場合 [ルコ的読書]

ところでわたしはおおたか静流(シンガー&ボイス・アーティスト)の「シンガー」としての活動内容をあまり知らない。
ここで取り上げているのは、あくまで「表現する仕事がしたい!」(岩波書店編集部編)の中の言葉が「強かった」からである。
正直、「内心の声」と言ってもピンとこない人もいるだろう。
あるいは「内心の声」が「生涯普通の仕事をすること」だという人も多くいるのだろうし、それはそれでいいのだと思う。
そのような人たちは「普通の仕事」をすることが自己実現となっているのだろうから、無理に他の「自己実現」を探す必要もない。
しかしどうしても「普通の仕事」ができなくて、自分の存在全てと引き換えにしても「内心の声」に従わざるを得ない人たちもいるのだ。
おおたか静流の次の言葉を読めば、そんな気持ちがどれだけ切実か分かるだろう。

いや、何が何でも変えねばいけなかった。それは自らの生死を決めるようなものだった。生を選ぶか死を選ぶか?
それまで見えていなかった羅針盤がはっきりと見えた。私は私を不憫だと感じることにした。心の欲望を叶えてあげなかったことを自分自身に詫び、何年かかっても自分が本当にやりたい道を進むことを自分の心に約束した。

       「表現する仕事がしたい!」岩波書店編集部編
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コメント 6

ちな

内心の声、自己実現は‥
今の自分に取って放蕩の限りをつくす夫のようなものです。
愛するほどに傷だらけ‥にもかかわらず捨てる事はできない。
‥いつか
自分の内心の声と仲良く手を取りあえる自分を作っていこう。
その意思の他に今を費やす理由はないと思っています。

<おおたか静流さんの心の叫びに打たれました。
 この年の締めくくりに、勇気を頂きました。 
             感謝しています!!> 


by ちな (2009-12-29 11:58) 

末尾ルコ(アルベール)

ちな様

内心の声を大切にし、その声の希望をかなえるためには、単純ですが勇気や力が必要ですよね。けれど「勇気や力」を本当に持つことのいかに難しいことか。
けれど内心の声が本物であるならば、無視することは絶対できません。

少しでもお役に立てたとすれば、幸いです。

                             RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2009-12-29 14:28) 

オクサナ

こんばんは。



私は一度だけ、おおたか静流の曲を聞いた事あります。



三年位前に、NHKの金曜日の夜8時からの時代劇のエンディング・テーマ曲がおおたか静流の曲でした。



義父が観ていた時代劇なのでドラマ名は思い出せませんが、透明感のある魅惑的な曲でおおたか静流ははっきりと記憶しました。


by オクサナ (2009-12-29 22:31) 

末尾ルコ(アルベール)

オクサナ様

そうですか。
わたしはほとんど聴いた記憶がありません。

ここまでのことを言う人ですから、機会があれば聴いてみたいと思ってます。

                             RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2009-12-29 23:47) 

tacit_tacet

おおたか静流さんは、20年ほど前、CMで話題になった「花」のカバー曲で有名になった方ですね。透明感溢れる歌声に、民族音楽風の楽曲がマッチして、一時期よく聴いておりました。

「普通の仕事」と「表現する自己」とを、どう折り合いをつけるのか、未だその答えを見出せない自分にとって、この一連の記事は、大いなる課題を突きつけられた想いです。
by tacit_tacet (2009-12-30 00:31) 

末尾ルコ(アルベール)

tacit_tacet様

> 「普通の仕事」と「表現する自己」とを、どう折り合いをつけるのか

これはもう、非常に難しい問題ですよね。
簡単に結論は出せないと思います。「表現する自己」のみを目指し、生活が壊れた人も無数にいるのでしょうから。
「表現する自己」を中心とするには、「強さ」や「したたかさ」も大いに必要になってきそうです。

                             RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2009-12-30 00:59) 

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