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パリ・オペラ座バレエ団 「最高」の存在 その⑨ 3月19日「ジゼル」ドロテ・ジルベールとマチアス・エイマン [愛とバレエ]

ドロテ・ジルベールには陽気なイメージがある。
美しい褐色の肌に、いかにもしなやかで強そうな体、そして普段話をするときも快活に笑いながらということが多い。
反面、白鳥などを演じる場合のたおやかさに欠けるのではなかということはドロテ本人も気にしていることだ。
そんなドロテが「死」が運命づけられた少女ジゼルを演じることができるのか。

しかしドロテ・ジルベールは1幕も2幕も見事に演じ切った。
とりわけ狂乱のシーン。
髪を振り乱したジゼルを見て、わたしは初めてドロテが理想的なゴシックの顔をしているのに気づいた。
狂乱し、死を間近にし、そこにあるものとは違う存在と対話し始めるドロテのジゼルはまさしく本物のゴシックだった。
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