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小説 熱帯魚のハート・その喜劇と悲劇 22 感情と道理 [小説 熱帯魚のハート・その喜劇と悲劇]

小さな水槽の中、一匹だけのソードテールはもはや底の方でほとんど動かなくなった。
同じ姿勢のまま、苦痛を身に重く湛え、ただ目は何かを見ていた。
もう死ぬのだろう。
そうとしか思えなかった。
一匹だけで死ぬよりは、せめて他の魚と一緒に・・。
この考えが熱帯魚を飼う姿勢として正しいかどうかはわからない。
おそらく病気の魚は他の魚と一緒にすべきではないのだろう。
けれどそんな道理よりも、(せめて他の魚と一緒に)という感情が勝った。

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