SSブログ

「美」を生み出す(はずの)アート界の俗物精神   「美術手帖」(2009.10 アーティストになる基礎知識) [ルコ的読書]

「~になる方法」とか「~になる基礎知識」とかを読んで本当に「~」になれるとも思えないが、「美術手帖」(2009.10)の特集「アーティストになる基礎知識」は、とりあえずある程度実用的な知識や体験談を読むことができる。
わたしはいわゆる「美術界」の人間ではないから客観的に見ることができるわけだが、「アート」の世界だからといって「実力」だけで評価されるわけではないことはよく耳にする。
地方のいわゆる「県展」「市展」レベルから国内の大きな「コンペティション」のようなものまで、残念ながら「政治的要素」が働く余地が大きいのは間違いなさそうだ。
「美術手帖」(2009.10)で榎忠というアーティストに若木くるみがインタヴューしているが、次のようなことが語られている。


榎 でもね、展覧会に作品を出すようになって、疑問が湧いてきた。上下関係があって、「○○先生についたら賞をとりやすい」とか、そんな話ばっかり聞くの。そんなの絶対おかしいと思って。そのとき僕は二紀会に入ってたから、同じように考えてた仲間でお偉いさん方と討論会をやったの。「なぜ展覧会をやるのかわからない」とか、僕らが問題点を読み上げて回答してもらうっていうね。それはもう、ごっつい怒られた。

        「美術手帖」(2009.10 アーティストになる基礎知識)

「美」を生み出すはずのアート界の大家であっても、精神が俗物な人間は珍しくないようだ。

nice!(38)  コメント(8)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 38

コメント 8

cjlewis

こういう話はよく聞きますね。お花の世界とかだと、もっとヒドイみたいです。
今の時代、美大や音大に入る際にも、こういうのがあるみたいですね。つまり、普通に上手いひとは星の数ほどいるわけです。
世界的なファッションデザイナーを数多く輩出している名門アートスクール、セントラル・セント・マーチンズに入学するのは、意外と簡単だそうです。でも、先生たちは、いろいろ課題は出すそうですが、熱心に手とり足とりは教えてくれないそうです。どうも、10年に1人、天才を輩出できればいいというスタンスらしいです。
by cjlewis (2010-03-31 10:14) 

thisisajin

美しくない話ですな(笑)
by thisisajin (2010-03-31 11:36) 

tamanossimo

汚い世界だと思われても、現実なのね・・・
実際、そんな世界で生きてきたわ~ がくっ。
by tamanossimo (2010-03-31 14:03) 

末尾ルコ(アルベール)

cjlewis様

セントラル・セント・マーチンズの世界、興味深いです。

そんな世界でも醜い要素はあるのでしょうが、それに染まりきるか、それとも上手に一線を画すかなどということで、人間的な違いが出てきそうです。

それにしても「お花の世界」などもそうですが、上に立つ人間がもっとまともにならねばと思いますね。

                           RUKO


by 末尾ルコ(アルベール) (2010-03-31 16:44) 

末尾ルコ(アルベール)

thisisajin様

まったくです。(笑)

       RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2010-03-31 16:46) 

末尾ルコ(アルベール)

tamanossimo様

醜い世界の中で美しく生きる努力をする・・これがいいのかもしれません。

                             RUKO

by 末尾ルコ(アルベール) (2010-03-31 16:56) 

palette

県展で、明らかに同じ部屋、同じ画材で、同じような色調で描かれた絵が2点入選しているのを見て、「なんじゃこれ」と思ったことがありました。同じ先生に習っている人たちなんでしょう。オリジナリティのかけらも無い、ただの習作でした。ほんとシラケました〜@@
by palette (2010-03-31 20:28) 

末尾ルコ(アルベール)

palette様

地方だとかなり露骨な形でそういったことが表れる傾向にありますね。
わたしの知っている範囲でも、とんでもないセンセーがいますよ。

                                RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2010-04-01 01:46) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0