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宮本武蔵対吉岡清十郎 井上雄彦によって生み出された美 「バガボンド」 [ルコ的読書]

年明けの深夜、京都洛北蓮台寺野にて対峙する宮本武蔵と吉岡清十郎。
まずは武蔵の方が動揺する。
武蔵の脳裏に、清十郎によって無残に斬られるイメージが浮かぶ。
清十郎には十分自信があるが、目を狙った一の太刀が額をかすめただけに終わり、さらに武蔵の攻撃がかつてない重さを持っていることに気づくに至って、初めて自分が武蔵に斬られるイメージが脳裏をかすめる。
しかし決して動揺することなく、「最悪の場合・・・・」「そういうこともあるのかもな・・」と呟きながら軽く笑みを浮かべる。
実はわたしはこのシーンが最も好きなのだ。
清十郎は初めて「負ける」、つまり「死ぬ」かもかもしれないというイメージを持つ。
けれど少しも動揺することなく、自分の力を信じ、あくま「待つ」のではなく、武蔵に対して常に「一の太刀」を放ち続ける。
その姿が「バガボンド」の中でもひときわ
妖しく美しく光芒を放っている。
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コメント 4

teddy0905

ルコさん!
 本当に素晴らしい!
清十郎は「一の太刀」を放ち続けることで、自分の平常心を保ち続ける。
 考えますね~!
本当の強さ(精神的な)は?
by teddy0905 (2010-04-16 08:38) 

cjlewis

清十郎はどういう顔なのか、想像でしかありませんが、
「最悪の場合・・・・」「そういうこともあるのかもな・・」
とつぶやいているときの口元は、なんだか、とっても鮮明に私の頭のなかに浮かんできました。
by cjlewis (2010-04-16 10:06) 

末尾ルコ(アルベール)

teddy0905様

ありがとうございます!

「バガボンド」の中の清十郎ですが、どんな状況でも精神的に「引く」ということが全くない姿が美しかったですね。

                             RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2010-04-16 12:09) 

末尾ルコ(アルベール)

cjlewis様

お好きな雰囲気のようですね。
井上雄彦がよく創造してくれたと思います。
他の巻はけっこうスポ根なんですよ(笑)

ちなみに実物の清十郎の顔に関する記録はまったくないようです。(笑)

                             RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2010-04-16 13:02) 

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