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孤独なカキの物語 カキティーヌの部屋 5 [小説・孤独なカキの物語]

カキティーヌはカーテンに背を向けた。
心の中のカキとの対話を感じ、窓に蔭として映っているヘルムート・ドイッチェン・カキ公爵の視線を感じながら、それでも窓に背を向ける。
(ああ)
今まで何度も経験したはずだ。
それでもカキティーヌは熱くため息を漏らす。
背を向け、カキ公爵の姿が見えなくなると、見えている時以上にその視線が体をじりじり焼くのだ。
そしてその「焼かれる」感覚を、カキティーヌは嫌いではない・・。
「く・・」
カキティーヌの唇から音にならない音が漏れる。
(ああ、でもこれは背徳・・?わたしにはカキという想い人がいるのに・・)

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