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●末尾ルコ「平成史」~平成30年(2018年)上半期メディアショウタイムとしての「タイ少年救出劇」、あるいは「日大アメフト部問題」。 [「言葉」による革命]

●末尾ルコ「平成史」~平成30年(2018年)上半期メディアショウタイムとしての「タイ少年救出劇」、あるいは「日大アメフト部問題」。

末尾ルコ「平成史の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

2018年は平成30年である。
平成30年初夏は、西日本豪雨に見舞われた年として深く記憶されるだろう。
そしてテレビメディアは今まさに豪雨がピークを迎えようという段階になっても、タイの少年救出劇を放送したくてたまらない雰囲気がありありだった。
フランス人の友人フェノン(仮名)にこの話題をふると、(困ったもんだ)という表情となり、
「BBCでもトップニュースで20分くらいやってたよ」と言う。
確かにわたしもフランスなどのサイトを見ていると、タイの少年救出劇のニュースを大きく取り上げるメディアが多かった。

この少年たちの命はもちろん重要だ。
言うまでもないことだ。
しかしテレビメディアが我先にとばかりこのニュースを伝えたのがヒューマニズムに一切基づかないことも言うまでもない。
もちろんあなたもお分かりだろうけれど、「救出劇をテレビ放送できるから」毎日毎日他の重要ニュースを差し置いてトップクラスで放送されたのであり、仮に同じ子どもたちが遭難したにしても、「テレビ放送できない状況」出逢えば、当然ながらグッと控えめな扱いだっただろう。

マスメディアが「人間の命」をも彼らの金儲けのネタとして取り扱い続けているのも今更言わすもがなであるが、世界的にもクオリティの高さで認識されていたBBCもその例外ではなくなっていると見做すべきなのだろう。

西日本豪雨は200人以上の人が亡くなり、それだけではなく、人的被害・物的被害を含めると凄まじい事態になっている。
豪雨が通り過ぎ、被害実態が明らかになるのを待たずとも、それらはかなり予測できたはずだ。

あるいは2018年上半期の大きなメディアショウの一つとして、日大アメフト部の愚劣さを延々と糾弾する「ふり」をテレビがし続けたことも忘れてはならない。

日大アメフト部のあの救い難い愚劣さは、当然糾弾されねばならない。
しかしこの話題も言うまでもなくテレビメディアにとっては、美味しいい美味しいショウタイムだった。

日本のスポーツ部の旧態依然とした愚劣さは別に日大アメフト部だけのことではない。
今回、日大アメフト部が極端なケースを演じてしまっただけのことで、スポーツ部特有の上下関係に由来する非人間的所業は、下は小中学生の時期から、全国津々浦々に浸透しているだろう。
そして、「(上下関係がしっかり身に付いた)スポーツ部出身者」を望む多くの日本企業風土も同じことである。
ここから話を始めねば、日大アメフト部の具体的愚劣人間たちのみをスケープゴートとするショウタイムにしかならない。

(現在はボクシング界に関してテレビメディアフェスティバル状態になっているが、各事象について細々穿り返していても日本のスポーツ界は変わらないだろう。既成のメディアを中心としたスポーツ礼賛と、そもそもの「タテ社会大好き」な日本人の性向を直視せねば)

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