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●我が母(お母ちゃん)、心臓バイパス手術後、大転子部不全骨折後闘病記&退院後日誌383日目~『陽暉楼』、緒形拳の「殺気」と数々の醍醐味。 [「言葉」による革命]

末尾ルコ「母の話、健康医療・介護福祉の話題、映画と芸術の話題」

10月23日(木)手術後574日目 退院後383日目

五社英雄監督の『陽暉楼』についてのお話を続けますと、堂々たる主演の池上季実子、この作品の数年後には「2時間ドラマ女優」となってしまったのはいかにも残念でした。
普通は『陽暉楼』くらいの映画で見事に主役を務めたら、その後しばらくは高品質の映画出演が続きそうなものだけれど、この辺りは日本芸能界の辛いところです。
わたしの青春時代(笑)、池上季実子にはとてもいいイメージを持っていたのですが、(いつの間にかあまり観なくなったなあ・・・)という印象だったけれど、2時間ドラマ出演を連発してたんですね。
わたし2時間ドラマ観なかったから、そりゃあ目に入らないわなあ。
浅野温子も「W浅野」と呼ばれる前の、この作品くらいの頃の方が(何をやるか分からない)という迫力がありました。
そして緒形拳がいいんだな。
この時期の緒形拳は日本映画界のトップ男優の一人でしたね。
しかしこういう感じのトップ男優というのも今はいない。
ざっと挙げてみても、
『鬼畜』
『復讐するは我にあり 』
『わるいやつら』
『ええじゃないか』
『北斎漫画』
『楢山節考』
『陽暉楼』
『魚影の群れ』
『櫂』など、凄いですねえ。

当時の緒形拳には色気とともに「殺気」がありました。
「殺気」、わたしが大好きな言葉であり概念です。
日本映画界で誰に「殺気」を感じるかと言えば、例えば『眠狂四郎』や『大菩薩峠』などの市川雷蔵、あるいは松田優作、最近では前にも書きましたが、綾野剛にも時に感じます。
世界映画に目を向ければ、若き日のロバート・デ・ニーロやクリント・イーストウッド。

そう言えばわたしは『子連れ狼』という劇画が大好きなのですが、その主人公である拝一刀、映画では若山富三郎、テレビでは萬屋錦之介が演じていますけど、本当に劇画のイメージを再現するのであれば、クリント・イーストウッド、日本の俳優では高倉健ですな。
あ、そうそう、高倉健も作品によっては凄まじい殺気を発揮しています。

『陽暉楼』には『ゴッドファーザー』へのオマージュとも言えるシーンや『パルプ・フィクション』を先取りしたかのようなダンスシーンもあります。

かつて北野武監督は、「乳出して暴れるような、女優さんが喜ぶようなシーンは作りたくない」的な発言をしていて、『陽暉楼』などまさにそのような映画なのですが、今また観たからこそわたしは、「そんな映画も絶対必要だ」と断言できます。
映画の醍醐味に一つですからね。

最近観返して映画で少々残念だったのが、マイケル・マン監督の『ラスト・オブ・モヒカン』。
大好きな作品の一つだったはずなのですが、今回の鑑賞ではあまり感心しなかった。
どうも「出逢ったばかりの女性に恋に落ちる」まではいいけれど、「出逢ったばかりの女性に命を懸ける」という展開はあまりに唐突で入れませんでした。
出逢って本当に、一日とか二日でそうなるんですから。


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コメント 3

ニッキー

「子連れ狼」私は見たことがありませんが、
時代劇が好きなかみさんに「知ってる?」と聞いたら
「萬屋錦之介さんがとってもカッコ良かった=(^.^)=」と
言ってました(°_°)→子供の頃に見たらしいです(°_°)
ずいぶん渋い趣味だなぁ。。。と、思いましたが
そういえばロバート・デ・ニーロやショーン・コネリーも
年齢を重ねた方がかっこいいって言ってたなぁw

by ニッキー (2020-10-31 09:14) 

(。・_・。)2k

ラスト・オブ・モヒカン 好きな映画ですが
時間が経ってから観ると また変わるんでしょうね

by (。・_・。)2k (2020-10-31 09:57) 

hana2020

「陽暉楼」主演の池上季実子は色っぽい眼差しと、うりざね顔が日本髪の芸者役にピッタリの雰囲気でした。
浅野温子のぴちぴちパッツンな丸顔、切れ長の目が危うく挑戦的で良かったです。
緒形拳は大河の「太閤記」「源義経」の頃から、晩年になっての悪役、「ナニワ金融道」シリーズ、遺作となった「帽子」までずっと見続けてきました。

そう、この頃の出演作、「鬼畜」「復讐するは我にあり」「ええじゃないか」「北斎漫画」「楢山節考」「陽暉楼」「櫂」は観ておりました。
同時期に偶然、ご本人を見かけた事があったけれど、まだ幼い息子さん二人と歩く様子は一般人そのもの。役者であれば当然ながら、そこに当然「殺気」はなし(笑)
最後まで演じつづけた緒形拳も、役者〇〇と言われる中の一人、ギャラが安くても、自らの体調と戦いながらプロとしての心意気を示した一人であったかと思います。
C・イーストウッド、高倉健の「子連れ狼」ですか。
若山富三郎、萬屋錦之も幼子の父親にしては歳をとり過ぎていた感があったものの、見られる殺陣を演じられる俳優は限られてしまうのでしょう。
「ラスト・オブ・モヒカン」も鑑賞済みでした。
by hana2020 (2020-10-31 11:37) 

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