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DVDで観た吉高由里子「蛇にピアス」の穏やかなSMシーン [吉高由里子]

米アカデミー賞にノミネートされた「おくりびと」には
十分敬意を表するし、
粘り強く完成に結びつけた本木雅弘は、
これにより歴史的にも不動のポジションについたと思う。

しかし、
わたしの中で昨年もっとも感銘を受けた映画は、
やはり「蛇にピアス」だ。

まず蜷川幸雄が3人の主演者を選んだことに感謝したい。
他の俳優が代わることは不可能な完璧なアンサンブルだ。

今回DVDで吉高由里子の「蛇にピアス」を観たのだが、
SMという観念が金原ひとみ的というか、
従来の日本的SMの要素がまったくないのが興味深かった。

作品自体が「痛み」を重要なファクターとしていることもあるだろうが、
SであるシバがMであるルイを痛めつけるさまは、
そのほとんどのパーセンテージを「痛み」に費やしていた。

そこには日本伝統の「羞恥」によるSM的快感が
まったく入る余地がなかった。

そのSM認識についてどう思うかは、
別の機会に譲ろう。

「激しい」と評される「蛇にピアス」のSMシーンだが、
そんなことはない。
実に穏やかに、上品に撮られている。
この映画は「エロス」を描いたものではなく、
「純粋」を描いたものだと思う。
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