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恐るべき映画「チェンジリング」と、恐るべき女優吉高由里子 [吉高由里子]

クリント・イーストウッドをどう表現すればいいのか。
映画を愛する人間すべてに尊敬されている彼に対して
わたしが今更付け加えることはなさそうに思える。
それでもどうしても何か言いたいので、
心に浮かんだことを書く。

昨夜「チェンジリング」を観た。
さほどストーリーなどの予習をせずに臨んだのもよかったのだろう。
あまりの驚愕な展開に何度も何度も鳥肌が立った。
これは恐るべき映画であり、
もし映画館で観ることを逃していたなら生涯後悔したことだろう。
恐るべき内容を仮借なく描きながら、
イーストウッドの目が迷いも動揺もないので、
それだけに観客は更に深い感銘を受けることになる。

イーストウッドの映画はすべて好きだが、
実はわたしにとって「許されざる者」こそ
これまでの頂点だった。
「許されざる者」は神話の仲間入りをした映画で、
その後の「ミスティック・リバー」や「ミリオンダラー・ベイビー」も
素晴らしいけれど、比較の対象だとは思わなかった。

そこへ「チェンジリング」である。

「チェンジリング」が「許されざる者」ほどの
完璧性を持つとは思わない。
けれどそこにある「救いようのなさ」は同じ熱を持つ。
「救いようがない」からこそ人間は「救われる」のだ。
もう一つ言えば、
奇跡的にも完璧な構成で心が震えた「許されざる者」に対し、
最初から終わりまで静謐ながらでこぼこした「チェンジリング」は、
バロック芸術の持つ
顔をそむけたいけれど絶対にそむけられない快感もある。

イーストウッドの世界に比べたら、
まだ今の日本映画は「業」が足りないか。
もちろん近づいてる監督たちもいるだろう。
そして女優で言えば、
「チェンジリング」のような世界を表現できるとすれば
吉高由里子ということになる。
救いようのない「業」を持つであろう女優吉高由里子。
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