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あなたはイーストウッド「許されざる者」を観ていますか?2013年10月19日0 [生と死のためのアート]

[スペード]李相日監督の「許されざる者」を観たんですが、「よく頑張って撮った」という感想は持ててもそれ以上はなかなかです。

なにせクリント・イーストウッド監督のオリジナルが既に「神話」化した作品だけに、李監督ももちろん覚悟の上で撮ったのでしょうが、比較するなと言われても比較してしまうし、そうなるとどうにもリメイク版を評価し難い。

オリジナルは映画の構成も演出もすべて「神話」としか言いようのない完璧なものでした。

シンプルなストーリーの中に限りない人間の業の数々を織り込み、映画史上屈指のエモーショナルなラストシーンへと結び付いて行く。

クライマックスでイーストウッドが酒場へ現れた瞬間からもう目眩がするくらい「あっちの世界」なんです。

「魂を抉られるほどの感動」とはイーストウッド「許されざる者」にこそ相応しい。

「感動」という言葉さえ軽薄に聞こえるくらいだ。

ところで「感動」という言葉もあまり軽々に使わないでくださいね。

「何に感動したか」で「どんな人なのか」がかなり分かるものです。

李監督版は「アイヌ問題」を上手に絡めていて、渡辺謙などが森の中で屯田兵に出くわすシーンは興味深かったですが、「具体」がかなり前面に出たもので一本の映画としてのエモーションが薄らいだ。

まあ他にもいろいろありますけどね。



クリント・イーストウッド「許されざる者」は人類が創造した最高の芸術の一つです。

未見の方はぜひご鑑賞を。

ただ、「日本語吹替版」では観ないでください。

テレビで放送していたのを一度観てしまいましたが、ぜんぜん違います。

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