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〈「言葉」による革命〉・・・●末尾ルコ「映画であなたの人生をより強く美しくする」講座~まったく難解ではない、イングマル・ベルイマン「叫びとささやき」は、ホラー映画でさえある。2016年12月11日 [「言葉」による革命]

●末尾ルコ「映画であなたの人生をより強く美しくする」講座~まったく難解ではない、イングマル・ベルイマン「叫びとささやき」は、ホラー映画でさえある。

かつて日本の多くの映画評論家は「極めて難解な」映画作家の筆頭にイングマル・ベルイマン監督を挙げていました。
スウェーデンの映画作家イングマル・ベルイマン。
確か映画評論家の荻昌弘だったと記憶していますが、「ヴィスコンティはベルイマンと比べるととても分かりやすい」と書いていた。
純粋な(ふふふ)少年だったわたしは、(なるほどベルイマンはそんなにも難解なのか)と納得したものです。
あるジャンルのファンにとって、「そのジャンルの熱心な理解者である自分」と「一般の人」の間には明確な差異を保っておきたいもので、しかもまだ幼かった(うふふ)わたしは、(とても子どもが観るようなものではないベルイマンなんて知ってるオレってかっちょいい!!)と感じていなかったと言えば嘘になるのです。
今のわたしはそうではありませんけどね。
ただ便宜上、例えば「映画ファンー一般の人」という区別はしています。
これは「マニアという狭い世界を作りたい」という気持ちとは真逆で、「より多くの一般の型にもコアな世界を知ってほしい」という気持ちからです。

まあそういうわけで、わたしも長い間、「イングマル・ベルイマン=超難解」のイメージは持っていた。
それが今ですね、2016年にはイマジカBSでもベルイマン監督の「叫びとささやき」や「仮面ペルソナ」を放送したりしていますが、「おもしろい!」んです、これが。
「難解さ」なんてまったく感じない。
もちろんその内容を深く追究すれば、キリスト教思想に基づいた細かなディテールを分析できるでしょう。
ではベルイマンの「叫びとささやき」はキリスト教思想や「神の不在」に関する深い造詣がなければ愉しめないかと問われれば、まったくそんなことはない。
ストーリーはシンプルで分かりやすいし、女優たちの演技は超一級。
それ以前に、演出、画創り・・・すべて映画的快感に満ちている。
さらに言えば、「叫びとささやき」は、ホラー映画としても愉しめる内容なんです。

最近映画批評で「難解」を有難がる風潮はあまり見られなくなりましたが、美術評論なんかはいまだそんなところがありますね。
よーく、考え直すべきだと思いますよ。

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