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〈「言葉」による革命〉・・・●末尾ルコ「団地妻 山本富士子のエロス」~映画『私は二歳』批評。2017年5月24日 [「言葉」による革命]

●末尾ルコ「団地妻 山本富士子のエロス」~映画『私は二歳』批評。

「映画であなたの感性を鍛えるレッスン」

市川崑監督『私は二歳』。
松田道雄の『私は赤ちゃん』『私は二歳』をベースとした脚本。
父役は船越英二、母役は山本富士子、祖母役が浦辺粂子、さらに岸田今日子も出演していて、若き日の岸田今日子というのは、既に粘っこい雰囲気は醸し出しているけれど、それでもフレッシュな要素がある、なかなか他では見かけないタイプだということがよく分かる。
わたしが映画を観始めた頃は、岸田今日子は既に「怖い人」あるいは「犯人」(笑)というイメージが定着していたんですが。

『私は二歳』で描かれているのはもちろん、

親にとっての子ども
一つの夫婦の姿
妻にとっての夫の母親
祖母と孫の関係

などです。

大きな事件が起こるわけでもなく、大胆なカメラワークや豪奢なセットがあるわけでもなく、なにせ「団地」を中心にストーリーが展開するのだから、しかし才気溢れ、自信に満ちた市川崑の演出でグイグイ惹きつけられる。
ただ、わたしが特に注目したのは、『私はニ歳』の舞台となっている「団地」。
あの山本富士子が「団地」に住んでいるという不思議な感覚。

山本富士子といえば、やはり多くの時代劇で、しかも「豪奢でいなせな女」を演じたら天下一品というタイプだ。
その山本富士子が「団地に住んでいる」というミスマッチも鑑賞者を退屈させない大きな要因に違いない。

そう、『私は二歳』という映画は意外にも、「団地妻 山本富士子のエロティックを愉しむ作品」という内容なのである。


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コメント 1

hana2017

市川崑監督『私は二歳」から話がずれてしまって申し訳ないのですが。。
岸田今日子と言えば、怪しい魅力で男が逃げられなくなる「砂の女」。映画を観ただけでトラウマになった(笑)、忘れられない怖い女の役では、真っ赤に染まったお布団のシーンがインパクトあり過ぎだった「この子の七つのお祝いに」。
正統派美人、芸名である「山本富士子」もよくぞ付けました…って感じ。着物姿しか思い浮かばない彼女が、団地妻ですか。
数か月で豪邸へお引越してしてしまいそうですけれど(笑)

私にとって市川崑監督はやはり「東京オリンピック」です、学校の遠足の一環として観に行きましたが。
オープニングの既存の古いビルをぶっ壊すシーンの衝撃!
「あれ、オリンピックの開会式は?」と疑問を持った小三の私でした。
ギリシャでの女神を思わせる白いドレス姿の女性たちが聖火を採取するところから、その聖火が大陸を横断して日本に向かうまでも細かく描いた。
・・・ちなみに聖火ランナーを務めたのは、同じく雲ひとつない青空の下、広島に原子爆弾が投下された1945年8月6日に生まれた方だったのです。
隣りに住む同級生と同じファーストネームなのでよく覚えているのです^^
by hana2017 (2017-05-24 14:26) 

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