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〈「言葉」による革命〉・・・●末尾ルコ「『ユリゴコロ』吉高由里子、やはり『蛇にピアス』は特別だった」。2017年10月22日 [「言葉」による革命]

●末尾ルコ「『ユリゴコロ』吉高由里子、やはり『蛇にピアス』は特別だった」。

末尾ルコ「映画で知性と感性を鍛えるレッスン」

映画に戻ってくる(はず)の吉高由里子。
吉高由里子を一躍寵児とした映画『蛇にピアス』を監督した蜷川幸雄はもうおらず、しかし『蛇にピアス』をあらためて考えてみると、いろんな意味で「なかなかない日本映画」だった。
これから売り出そうという若手女優が演じる役としてはとてつもなくハードだ。
まず、「脱ぐ」。
映画上のフェイクとはいえ、身体に大きなタトゥを施す。
舌にピアスを付け、スプリットタン(蛇のように先が分かれた舌)となる。
もちろん原作者の金原ひとみは敢えてこうした世界を、「現代の日本」を描くために取り上げたわけだが、しかしそれが本当に「現代の日本」かと言えば疑問はある。
文学にせよ映画にせよ、「極端」を描かねば目を引かないというのはある。

吉高由里子はその後見る見るメジャーな女優になっていくのだが、有名な話で以前のマネージャーが実にやり手だったというのはけっこうだけど、結果的に『蛇にピアス』後の吉高由里子を枠に嵌める役割も果たした。

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コメント 2

hana2017

金原さんの原作は当然読んでいないものの・・・この名字からして、彼女は在日ですよね。
本作の芥川賞受賞は話題作りって感じが否めませんでしたので。。
映画は観たけれど、吉高由里子の細くて小さい裸身には痛々しさしかなく、登場人物達の誰もが変てこなヘアスタイルにファッション…とキャラが変わっているだけ。
若くて可愛い吉高由里子, 高良健吾 、井浦新・・・と揃っていた割りには登場人物の誰にも共感ができませんでした。
タトゥーもピアスも大嫌いです。

by hana2017 (2017-10-22 20:52) 

lequiche

そのときはそんなに思いませんでしたけど、
ふりかえってみるとたしかに《蛇にピアス》は特別かもしれません。
映画も、小説も。
村上龍の《トパーズ》とか《超伝導ナイトクラブ》などに似ていて、
いわゆる一番下品だった頃の渋谷みたいな雰囲気が濃厚で、
それはあの年代にしか出せない雰囲気だったと思います。
ちょうどナタリー・ポートマンの《レオン》と同じで、
もうその時代に戻ることはできないというような。
吉高には、そのはかなさの美学みたいなのがあります。
蜷川はそれがわかっていたのだと思いますね。
金原ひとみはすごく注目している作家で、
でもココ一発がまだ出ないですけど、
父/娘の関係性はなんとなく池澤夏樹っぽく思えます。
金原瑞人先生の翻訳量って膨大ですから、
そうした影響を彼女は確実に受け継いでいますね。
by lequiche (2017-10-25 00:57) 

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