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●危険な技連発、けが人続出の新日本プロレスと「カタルシス」に関するプチエッセイ。 [「言葉」による革命]

●危険な技連発、けが人続出の新日本プロレスと「カタルシス」に関するプチエッセイ。

末尾ルコ「プロレスで知性と感性を鍛えるレッスン」

プロレスに限らず、「ほとんどの鑑賞者は表現に接することでカタルシスを期待している」と、これは間違いのないことです。
もちろん「どんな表現でカタルシスを味わうか」は鑑賞者によって異なっているので、「この小説、最高!」「この映画、ベリーグウ!」「このお料理、セ・シ・ボン!」とか言って人様に勧めても、相手が自分と同じようなカタルシスを味わうかどうかは分からない。
特に「食べ物の好み」はなかなかに難しいものがあって、よく思うのだけれど、「子どもの頃から変に舌が肥えた状態」に育てるのは必ずしも幸福ではないですよ。
「カタルシス」全般についてのお話はさて置いて、ここでは「プロレスファンのカタルシス」に注目しよう。
ほとんどのプロレスファンは、「プロレス観戦でカタルシスを味わえる」からプロレスファンになっているわけであり、プロレスから「期待していたカタルシス」が味わえなければいずれ会場には閑古鳥が鳴き、80年代の新日のような暴動にまで発展するケースもありました。
現在小規模だけれど「ブーム」の最中とされる新日本プロレスもかつて閑古鳥状態を経験しており、存亡の危機の中で「いかにカタルシスを与えるか」を心身を擦り減らしながら模索してきた成果としての現在があるわけで、それはそれで大いに尊敬に値する話です。
では現在の新日本プロレスがどのようなカタルシスを提供し続け、観客の支持を得ているのかと言えば、次の3つが中心でしょう。

1分かりやすく、親しみやすく、そして派手な演出と試合内容。(流血戦をしないという原則を含む)
2より近しい(と感じさせる)ファンとの距離。
3老若男女問わずに(すげえなあ・・・)と感じさせるアクロバティックな技の連発。

この3つのポイントはそれぞれが単独で存在しているのではなく、複雑に関連し合っているのだけれど、現在怪我人続出など一番の問題となっているのが「3」であって、多くの試合がほとんど強迫観念のように危険な技の連発になっており、「いつ何が起こってもおかしくない」状況です。

まあこのようなことは一ファンのわたしが考えるよりも遥かに現場の人たちによって検討されているはずですが、「現場にいるからこそ見えなくなっている」こともあるだろうし、「カタルシス」という観点から見てもとても興味深いので、続けて考えていきたいと思っています。
もちろん昭和のプロレスあった「「プロレスラーが最強かも」という根強い幻想が消えた現在のプロレスに対する要求がまったく変質してしまったのは理解した上で。

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いっぷく

正直なところ、今のプロレスはそんなに見ていませんが、全日本が90年代にやってた2.9プロレスとは少し「危険」の質が違ってますよね。
四天王プロレスは、フィニッシュが決まらなくてエスカレートしていきましたが、今の新日本はフィニッシュは意外と決まって、つなぎ技がエスカレートしている印象が強いのです。
まあ、どちらも危険といえば危険ですが、ただどうして今なのか。三沢が亡くなった時とか、もっと前にしてもよかったと思うのですが、力皇も首をやられて引退しているし、森嶋は不摂生で引退しているし、数少ないヘビー級の主力をいとも簡単に失ってしまったノアは、いったい何やってたんだろうと思います。
柴田と本間ですよね、今回のきっかけは。2人とも危険技が直接の原因ではないみたいですけどね。新日本が話題にしないと業界的には前に進まないということでしょうか。ミスター高橋が暴露本出したときもいい機会だったかもしれませんが、レスラーや団体としては、あれは認めたくなかったんでしょうね。

馬場は名のある外人を呼ぶだけで、新日本のように無から創造する面白みがなく、この頃は日本プロレス時代の強豪も、飽きられたり衰えたりしていたので、馬場エリック戦も、日本プロレス時代ほどはワクワクしませんでした。ですからエリックを流血させた客に対してはむしろ、あんなに興奮する客もいるんだな、こちらも初心に返って観戦しようと教えられました(笑)でもあれは、傷害罪にならないんでしょうかね。

そういえば東京も雨が多いです。墓のつながりは、池上本門寺だけではなくいろいろな寺院を調べたいと思うのですか、やはり晴天であってほしいですね。
by いっぷく (2017-04-26 00:57) 

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