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●末尾ルコ かつて語った、「黒い10人の女」の山本富士子VS岸恵子のシーン! [「言葉」による革命]

●末尾ルコ かつて語った、「黒い10人の女」の山本富士子VS岸恵子のシーン!

溝口健二、小津安二郎、成瀬巳喜雄、黒澤明の作品が放送された時、未見であればもちろん、各監督の代表作は「観れば観るほど凄さが理解できる」ものばかりです。
で、この4大巨匠の他にも、市川崑監督の作品なんかも観逃がせない。
ただ、大岡昇平原作の「野火」は、映画史的には高評価の部類なのでしょうが、わたしは不満がいっぱいだった。
映画と原作とは別物だと言い条、やはり原作の持つフィリピン戦線の暑さ、汗、臭気、もっと言えば「腐敗臭」のような感覚がまったく出ていなかった。
「野火」原作の雰囲気は、映画的には大島渚の「戦場のメリークリスマス」の方が近いです。
ただ、BSプレミアムで放送された市川崑作品の中では、「黒い10人の女」は抜群の傑作だと思います。
出演は、

船越英二
岸恵子
山本富士子
宮城まり子
中村玉緒
岸田今日子

船越英二は船越英一郎の父とは信じ難いほど(笑)素晴らしい俳優でした。
「黒い10人の女」は、「ダーク」とまでは行かないけれど、「ブラック」な皮肉や笑いに満ちた内容で、その意味でも日本では珍しいクオリティです。
モノクロの陰翳の使い方も文句なしの美しさ。
そして出色はやはり女優陣。
前記した5人の女優、すべていいけれど、やはり山本富士子の存在感が際立っている。
正しく「大輪の花」です。
とりわけ岸恵子とツーショットで丁々発止の会話を交わすシーンは「日本映画女優史屈指の名場面」と言えます。
いや、「美しく、ド迫力!」。
「黒い10人の女」なんか観ると、昨今の邦画にますます不満が募ります。

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hana2020

本作品も未見ながら、この顔ぶれを眺めたら、山本富士子、岸恵子のふたりの特出ぶりが当然であるのは予想されます。
岸恵子は国際結婚によりフランス在住に、それでも日本での女優業を続けました。大河「太閤記」での市役の時も、日本、フランスを往復しての出演は話題となったかと。
私がパリを訪れた際には現地ガイドさんから、「あれが岸さんもお住まいされているサン・ルイ島ですよ」の説明を受けました。
「雪国」「怪談」と言った代表作から、ラストシーンを〆た「たそがれ清兵衛」と、日本映画に欠かせぬ、凛とした佇まいからも現役感の消えない、稀有な存在に思えてなりません。
by hana2020 (2020-08-23 22:56) 

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