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地方中小食品会社社員磯部、カフェで苛立つ。 [小さな小説集 正気と狂気の間]

佐野の性格は分かっている。
横柄さは仕事上の持ち味の一つでもあるのだろう。
ある同僚と飲んでいるときに、「佐野さんって、皆が思ってるような人じゃないですよ」という話をされたこともある。
佐野について「皆が思っている」のは、傲慢、横柄、不遜・・。
(その通りじゃないか。どこが「皆が思っている人じゃない」んだ)
磯部はさっきから苛立っていた。
佐野のでっぷりと肉のついた顔、銀縁の眼鏡の舌の細く陰湿な眼、そして今日の自分をゴミのように見下した怒鳴り声。
それだけではない。
先ほどから座っているカフェで浮かれて騒ぐ若い連中の醜さに、苛立ちは頂点に達しそうになっていた。

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