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〈「言葉」による革命〉・・・●末尾ルコ「読書&歴史であなたの人生をより強靭に美しくする」レッスン~藤本ひとみの『天使と呼ばれた悪女』、暗殺の天使シャルロット・コルデーはブスだったのか?2017年5月11日 [「言葉」による革命]

●末尾ルコ「読書&歴史であなたの人生をより強靭に美しくする」レッスン~藤本ひとみの『天使と呼ばれた悪女』、暗殺の天使シャルロット・コルデーはブスだったのか?

・藤本ひとみの『天使と呼ばれた悪女』について続けますと、シャルロット・コルデーという女性暗殺者はフランス革命という世界史上でも「派手」という意味では屈指の歴史的事件の真っ只中に登場し、しかも恐怖政治を強行して実質的に革命の主導権を握っていたジャコバン派で「人民の友」と崇められていたジャン・ポール・マラーをあまりに衝撃的に殺害したことで名を残している。
もちろんシャルロット・コルデーが20代半ばの女性だったことも、多くの人々のロマンティシズムに訴えかけた。
そう、「20代半ばの若く美しい女性が、フランス革命を牛耳った超大物の一人を暗殺した」という図式が強固にできあがっていたのだ。
この図式に対し、暗殺直後からコルデーに対して男性を中心に「熱心なファン」ができていて、長い月日を経た現在でも、フランス革命関係の書籍や記録を読んだ人の中に間違いなく「ファン」を増やし続けている、まさに「革命の天使」である。

ところが藤本ひとみの『天使と呼ばれた悪女』がおもしろいのは、まずシャルロット・コルデーを「世間知らずで思い入れが強烈な、かなり頭の悪い女」として描いているところだ。
それだけではなく、「シャルロット・コルデー=美人」というすっかり歴史的に(笑)定着した説に対しても、処刑の直前に描かせたとされる肖像画を基に、「別に美しくない」と断じている。
しかもところどころにいささか意地悪なユーモアをちりばめて。

わたしは別にこの藤本ひとみの「説」を全面的に支持するとまでは言わないが、日本人の書いた「歴史物」で、妙に下世話なところから話を持って来て、しかもユーモアまで散りばめる書き手は珍しく、とても楽しんだのだと大書しておこう。

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