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〈「言葉」による革命〉・・・●末尾ルコ 『ウルトラセブン』の「狙われた街」、その闇と美。2017年7月13日 [「言葉」による革命]

●末尾ルコ 『ウルトラセブン』の「狙われた街」、その闇と美。

末尾ルコ「映像作品で知性と感性を鍛えるレッスン」

2016年は映画『シンゴジラ』が話題となったが、言うまでもなく日本は特撮怪獣ものが独自の進化を遂げた国でもある。
しかし「進化」というけれど、実はそれは『ウルトラセブン』で絶頂を迎え、その後は「退化」を続けているのみではないかという気さえする。
例えば名作の誉れ高い「狙われた街」。
メトロン星人が煙草の中に赤い結晶体を仕込む。
そのタバコを吸った人間は発狂し、殺し合うことになる。
「赤い結晶体」という発想、そしてこの言葉自体の禍々しさが素晴らしい。
皮肉の効いたストーリーや台詞もなかなかのものだが、圧倒的なのが映像だ。
最初から終わりまでほとんど隙なく、インパクトある映像が連打される。
クライマックスで巨大化したメトロン星人とウルトラセブンが対決するシーンの美しさは圧巻で、黄昏色に染まる街で戦う両者の背景で終末感さえ漂っている。
中には逆光でシルエットになった人間が会話するシーンもある。
このようなシーン、今であれば視聴者から、「人の顔が見えないじゃないか!」とクレームが付きそうである。
これはよく言われることだが、日本の映像作品から闇がどんどん無くなっている。
テレビドラマはもはや論外で、映画でさえも「闇が美しい」と感じる作品は数少ない。

「闇」の豊かさを再創造しなければ。

「想像力」を再創造しなければならない。

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