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〈「言葉」による革命〉・・・●末尾ルコ「映画で舞台芝居をやらないでちょうだい!『バラバ』のアンソニー・クインと『クレオパトラ』のリチャード・バートンのまったくの違い」。2017年8月20日 [「言葉」による革命]

●末尾ルコ「映画で舞台芝居をやらないでちょうだい!『バラバ』のアンソニー・クインと『クレオパトラ』のリチャード・バートンのまったくの違い」。

末尾ルコ「映画で知性と感性を鍛えるレッスン」

アウグストゥスは紀元前27年に皇帝の座に就き、その後ローマ皇帝は、ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロと続く。
イエス・キリストの活動から映画『バラバ』でバラバが最期を迎えるまでのローマ皇帝たちは概ねこのような人たちだ。
アウグストゥスという偉大な皇帝から間もなくカルグラやネロの時代があった事実にあらためて驚かされる。
リチャード・フライシャー監督はいわゆるアート映画の監督ではまったくないけれど、子供の頃にテレビで観た『ミクロの決死圏』はインパクト抜群だったし、その影響の下に発案されたであろう『ウルトラセブン』でダリーの出る回とか、まあそういった話はさて置いて、『バラバ』では闇と人物の配分がカラヴァッジョを想起させるシーンもあったり、そう言えば映画のおもしろいところは、「芸術映画」を意図した企画でなくても、結果的にそうなってしまうことがあるところだ。
『カサブランカ』を芸術的と見るかどうかはさて置いて、制作中は誰も、つまりスタッフも出演者も、「世界映画史上永遠の傑作」と見做されるようになるとは夢にも思っていなかった。
もちろん『カサブランカ』を駄作と言う人はいるけれど、映画の枠を超えて圧倒的支持を受け続けている事実は今までも今後も変わらないだろう。
それにしても『バラバ』の闘技場シーンは、なまじっかダイナミックな演出をしてないだけに、本物の人間で埋め尽くされた観客席、剣闘士たちの訓練シーン、そしてジャック・パランスのクレイジーなパフォーマンスと、もう呆れるほど凄まじいものである。
そしてバラバ役のアンソニー・クインの、「目と表情の表現」。
『クレオパトラ』で舞台ばりの大芝居をかましてくれ、クライマックスで見事に白けさせてくれたリチャード・バートンやロディ・マクドウォールらと違い、アンソニー・クイン・・・「映画俳優」である。

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hana2017

映画「クレオパトラ」でのリチャード・バートンの演技、それ程舞台調で違和感のあるものでしたか(笑)
舞台でデビューをし、舞台俳優として活躍をした彼。
それもあってハリウッド映画の全盛期の時代、大作とされる映画で次々と主演し続けた。
数本は観たかと思うものの、あのような作品群は、オーバーなBGM、大掛かりなセットとそこで蟻のように動くエキストラ達・・・、俳優達個々の演技よりも目を奪われる部分が多かったように感じました。
アンソニー・クイン、リチャード・バートン、ロディ・マクドウォール・・・を知っている最後の世代=私達であるかと思います。

by hana2017 (2017-08-20 15:04) 

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