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〈「言葉」による革命〉・・・●末尾ルコ「衣笠貞之助、山本富士子、市川雷蔵が織り上げる泉鏡花の世界、『歌行燈』」。2017年11月6日 [「言葉」による革命]

●末尾ルコ「衣笠貞之助、山本富士子、市川雷蔵が織り上げる泉鏡花の世界、『歌行燈』」。

末尾ルコ「映画で知性と感性を鍛えるレッスン」

例えば衣笠貞之助監督の『歌行燈』などを鑑賞していると、このような世界がしっかり描かれた日本映画など未来永劫作られないのではないかと不安に駆られる。
濃厚で妖しい泉鏡花の世界。
時代性もセットやロケ、衣装や言葉遣いを含めてより的確に醸し出さねばならない。
そして出演俳優たちは、もちろん鑑賞者に泉鏡花の世界へとどっぷり浸らせる雰囲気を遺憾なく創り上げる細胞にならねばならない。
例えば『隠し砦の三悪人』の無残なリメイクを見ても分かるように、今の日本映画界に「美しい時代劇」を創り出す才能がほとんどいないことは明らかだ。
しかしそもそも、「泉鏡花」を愛する日本人がこれからどれだけ生まれるか、育てられるか。
もちろんいつだって「文芸復興」は起こり得るから決して諦めてはならないが。

ともあれ、山本富士子と市川雷蔵の『歌行燈』。
この二人の映画スターを観る、脇を固める堅牢な俳優たちを観る、「泉鏡花」の、そして時代の雰囲気と人間たちを描写した衣笠貞之助の手並みを観る。
すべての年代の人に一度は鑑賞していただきたい『歌行燈』である。


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