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●「男と女が合体する」という甘美なイマージュと、1972年の『ウルトラマンA』。 [「言葉」による革命]

●「男と女が合体する」という甘美なイマージュと、1972年の『ウルトラマンA』。

末尾ルコ「エロティシズムと昭和文化史で知性と感性を鍛えるレッスン」

「男と女が合体する」・・・何と甘美な響きを持ったフレーズであり概念だろう。
「男と女が合体する」。
もちろんこの「合体」という言葉からイメージされる情景は人により異なってくるだろうが。
ある人は「男女の濃厚な情愛行為」を思い浮かべるだろうし、ある人は「男女が心身ともに緊密な状態で暮らしている姿」を思い浮かべるかもしれない。
そしてある人は、「一人の男と一人の女が、心も体も完全に合一し、渾然一体となり、しかしそれでいて個体として存在している」・・・そんな現実的には不可能な境地を創造するかもしれない。

「一人の男と一人の女が、心も体も完全に合一し、渾然一体となり、しかしそれでいて個体として存在している」・・・ところがこの境地を子ども向け特撮ドラマとして描いた作品がかつてあった。
そう、『ウルトラマンA』だ。

『ウルトラマンA』において、「北斗」と
「南」という一組の男女は、「合体」し、スーパーヒーローとなり、侵略者たちと戦う。
1972年に放送されたこのウルトラシリーズの継承者は、当時頑是ない子どもだったわたしに対して具体的なセックスなどのイメージを喚起することはなかったが、おませな子どもだったわたしにはもちろん「好きな女の子」などもいたわけで、(~ちゃんと合体すると、どんな感じになるのだろう)と、やはりある種甘美な空想に浸った記憶がある。
しかし時期に、『超人バロム・1』という特撮ドラマがあり、こちらは何と、

「男と男が合体」

してスーパーヒーローに変身するという設定で、これに関してわたし自身は何ら甘美なイメージを持たなかったが、今考えれば、「そうした嗜好」の人たちにとっては、「なかなかの設定」だったのかもしれない、などと。


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いっぷく

私の周りではむしろ、「男と女の合体」に興味があるやつは勉強や仕事のできない堕落の世界で、「男と男が合体」は正統派で真面目だ、という捉え方を表向き確認しあってました。もちろん、内心では異性に対する甘美な空想はあったわけですが、一方で、自分の憧れの異性は簡単に自分には振り向いてくれないという現実も知る頃で、だからといって物欲しげな態度をとるのは恥ずかしいことであるというプライドもあり、「ぼくは女なんて大したもんじゃないと思っているのさ」という“ツンデレな思い”を標榜していたわけです。
それだけに、『ウルトラマンA』が終了した翌週から始まった、『おれは男だ!』の再放送を見てハマってしまったのです。バトン部と剣道部がつまらないことでケンカするくせに、同じところに一緒に合宿したり、試験勉強協力し合ったりしているので、喧嘩するぐらいなら行動をともにしなきゃいいのに、でもお互い関心があるから一緒に行動するという、前立腺がこそばゆくなるツンデレな学園生活のドラマを見て、ああ、こうやっていかにもデレデレじやなくて、ケンカして異性と仲良く出来る方法があるのか、自分もこういう学園生活がおくれたらなあと、思春期の心を大いに刺激してくれたものです。
森田健作は、ほとんどあれ一作で「青春の巨匠」なんて言われるようになり、今や千葉県知事ですが、政治家としての資質はよくわかりませんけれども、スケベに見えない清潔な高校生の役にあっていたので、森田健作が主演でよかったのだろうと思います。
by いっぷく (2017-06-10 01:18) 

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