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●「悠久感」歌謡史上最高か?「蘇州夜曲」を田川寿美と新妻聖子の歌唱で聴き比べ! [「言葉」による革命]

●「悠久感」歌謡史上最高か?「蘇州夜曲」を田川寿美と新妻聖子の歌唱で聴き比べ!

末尾ルコ「音楽の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

日本のポピュラー音楽・・・と言うと「どこからどこまでが」という話になって、実に大雑把な捉え方になるが、欧米のヒットチャートと比較すると、「ロック」が大きなセールスを上げたことはまずなく、有名どころはだいたい「ロック風歌謡」「ロック風ポップス」だ。
日本の文化土壌でそこを変えるのはなかなかに難しいことだと思うが、まあ「ポピュラー音楽」の範疇として普段意識されているのは、「歌謡曲」「流行歌」「演歌」「(いわゆる)ニューミュージック」、そして現在なら「J POP」といったところか。
こうして並べても実に意味するところの曖昧な言葉ばかりで、特に「(いわゆる)ニューミュージック」という言葉の軽さが今でも苦笑ものだが、例えば最近BSプレミアムで放送した1時間ほどの山内惠介特集番組で彼はある曲をきっかけに、

「ぼくも演歌歌手というだけではなくて、流行歌手になれるかもしれないと、世界が広がった気分だった」

という意味の発言をしていた。
それを聴きながら、(ああ、歌手たちの中ではこうした名目に思い入れがある人もいるのだな)と感じたのである。
ただわたしとしては細かな名目分けにはさほど興味はなく、自分の感覚で「いい!」「素晴らしい!」と感じた音楽はできるだけ聴いていきたいと、それがかなり前からの音楽にと言うか、文化芸術に対するスタンスである。
思い出せば10代の頃は、「知的な(?)プログレファンである自分」「尖鋭的なパンク・ニューウェイヴファンである自分」にこだわっていて、時々赤面してしまうわたしです(←山田姉妹「みずいろの手紙」風に)。

ところで演歌というもの、余程特別な曲想を持っている歌でなければ、(どれもおんなじじゃん!)と感じてしまうことしばしばだが、この点についても今後のテーマとして深めていきたい。

では、「蘇州夜曲」は名曲だろうか?

名曲である。

作詞は西條八十、作曲は服部良一。

李香蘭主演の「支那の夜」というえいがの劇中歌として発表されたそうだが、それが1940年(昭和15年)。
しかし1940年よりもずっと前から歌われているようなスタンダード感があり、しかも「古い」印象はまったくない。
「蘇州夜曲」をカヴァーしている歌手は驚くほど多く、しかも2000年以降にレコーディングしている人がやたらと多いところからも、「蘇州夜曲」の悠久性がよく分かる。
そして日本の歌謡史において、これほどまでに耽美かつロマンティシズムに満ちた悠久感を溢れさせた歌は他にはなかなかないと見る。

様々な歌い手たちの「蘇州夜曲」、今後じっくり聴き比べて行こうと思っているが、今回は田川寿美と新妻聖子による歌唱をぜひ聴き比べていただきたい。

田川寿美

https://www.youtube.com/watch?v=9wcvT4cxuIw

新妻聖子
https://www.youtube.com/watch?v=4HB-kzjWc8U

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hana2017

「蘇州夜曲」は何度も聞いていましたけれど、作詞西條八十、作曲服部良一・・・と知れば、現在歌われている言葉使いのなっていない・・・ポップスと次元の違いを感じるのは当然と言えば、当然でしょう。
主演の李香蘭・・・すでにどなたも故人でありながら、名曲は残り歌い続けられていく。
時代は変われど、心ある日本人中の心情は変わらないはず。
故・坂本九さんの「上を向いて歩こう」を思ってしまった私です←山田姉妹「みずいろの手紙」風に(笑)
by hana2017 (2017-12-28 09:31) 

いっぷく

昔、ポップス対歌謡曲というラジオ番組があって、それぞれゲストが出てきて、自分の好きな曲をかけて対抗するという構成だったのですが、私は、ポップスと歌謡曲がふた手に分かれて「対決」する定義の違いがよくわかりませんでした。
歌手の中ではジャンルによるこだわりがあるかもしませんね。
少し話は違いますが、役者も、以前は舞台>映画>テレビという仕事の価値の差があったようですから。豊浦美子がウルトラセブンをやめて、クレージーの怪盗ジバコに出たのもその価値観に基づく判断ですし。でもそのおかげで、ひし美ゆり子という今も愛されている女優が出てきたのですけどね。
今は、役者とはいえないようなタレントが事務所の力で仕事をしていますから、そんなこだわりもなく、ギュラも安く付加価値の付かない舞台は一番下なのでしょうね。

「蘇州夜曲」は夏川りみ版も視聴してしまいました。
昔、山口淑子が「3時のあなた」の司会をしていた時、1度歌っているのを観たことがありますが、その質がどうだったかは覚えていません。
いい歌だと思います。まさに耽美で、静かにゆっくりと聴き入る歌ですね。
そして歌う舞台にいずれも生演奏が入っているのがいいですね。
今は、映像技術と音響技術を駆使したプロモーション動画と口パクなので、その人の歌唱力とか、演奏との相性とか、歌手としての佇まいなどをじっくり見ることができないですねね。
彼女たちのバックで演奏しているのは、ダン池田とかが率いていた小規模なバンドは絶滅しているので、今も残るのは交響楽団。彼らも呼ばれてなんぼの日銭商売なので、仕事ができて良かったと思います。
基本給はあるそうですが、そうした演奏仕事の日給は年齢性別関係なくみなおなじなので、サラリーマンのように歳を取ると給料が上がる、という仕組みになっていないところが大変らしいですね。

>自然食崇拝の人たちがそうでない人たちよりもずっと健康長寿で、しかもいい人生を送っているようにはぜんぜん見えないのです。

私も以前は、無農薬とか有機とついたものがいい、と単純に思い込み、米、ミソ、醤油、お茶などはすべてどこかの地方のそうしたお店から買っていました。
でも、無農薬は農薬を使っていない分別のものを使っていて、それが規制のある農薬よりも実はリスクがあるかもしれない、ということを知ってから、「自分は間違ったことをしていた」と、今度はそういうものは一切やめました(極端)。本の著者がいうように、無農薬ではなく、きちんと安全性が調査されている低農薬がいいのかもしれません。

食品の健康効果については、そういうブログを書いている方もいらっしゃるのですが、健康情報雑誌のまとめのようになっていて、自分で一次情報にあたったり、検証したりしたわけではないのです。
血液型占いと同じで、科学域根拠の無いものが、科学的な装いの、すなわち疑似科学として拡散しているわけですから、どう意見を書くべきか悩ましいところです。
by いっぷく (2017-12-28 10:13) 

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