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●西城秀樹の『愛と誠』の「早乙女愛」の早乙女愛こそ、日本映画史上最高の小悪魔ではないかとの堅牢な持論が突然できた夏の夜。 [「言葉」による革命]

●西城秀樹の『愛と誠』の「早乙女愛」の早乙女愛こそ、日本映画史上最高の小悪魔ではないかとの堅牢な持論が突然できた夏の夜。

末尾ルコ「映画の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

早乙女愛が、いい・・・。
と、何やら絞り出すように呟く男がわたしなのだが、そう、7月27日にBS日テレで映画『愛と誠』の放送があったので観てしまった男がわたしなのだと言い替えてもいい。
そして正味90分足らずの、この梶原一騎原作漫画をベースとした映画を、夢中で観てしまったのである。
おもしろい・・・ひたすら、おもしろい・・・そして、パンクである。
『愛と誠』は三池崇史監督によって、2012年にも映画化されているけれど、早乙女愛が「早乙女愛」を演じた1974年版の方が遥かにスゴイ!
「凄く」「すごく」「スゴイ!」のである。
三池版『愛と誠』もミュージカル仕立てで、悪くはなかった。
しかし振り切れてはいなかった。
なので、「大爆笑!」とはいかなかった。
ところが1974年の『愛と誠』は、すべてにふり切れており、「これぞ、パンク!」なのだ。
キャストは、「大賀誠」に西城秀樹、「早乙女愛」に早乙女愛、岩清水弘に「仲雅美」である。
平成生まれの人ならば、(なぜ「早乙女愛」を演じるのが早乙女愛なのだ?そんなことが現実に起こる可能性は限りなく、ゼロに近いのではないか!いわば、「モロボシダン」を「モロボシダン」が演じるようなものではないか!)と怪訝に感じ、首を傾げ、ついには怒りを爆発させるかもしれない。
しかしこれは松竹が、「早乙女愛」役を公募し、「4万人」の中から選出された女性の芸名をそのまま「早乙女愛」にしたことによる。
この度BS日テレでの放送には、本編が始まる前にそのオーディションの様子や予告編なども流されて実に興味深かった。
なにせ予告編のコピーに「青春のゲバルト」などという文字が躍っている。
「ゲバルト」って・・・(笑)。
そう言えば映画中、不良グループ同士の抗争が何度か描かれているのだけれど、非行少年同士の喧嘩と言うよりも、過激派学生の抗争のように見える。

今回この作品は西城秀樹に対する追悼として放送されたもので、もちろん生命力に溢れる秀樹は魅力的なのだが、圧倒的に目を引いたのは、早乙女愛である。
オープニングタイトルでいきなり「早乙女愛」という名前の横に(新スター)という文字が躍り、心も躍る(笑)。
そして早乙女愛が画面に登場した途端、そのまるっきりの「無表情、台詞棒読み」に唖然とし、(何という馬鹿馬鹿しい映画なのか・・・こんな主演女優で作品が成立するのか)と鼻息が荒くなるのだが、観ているうちにその無表情に秘められたノーブルで愛らしい顔立ちと、制服やテニスウェアで露となる、見事なプロポーションから目が離せなくなる。
(日本映画史上最高の小悪魔は、『月曜日のユカ』の加賀まりこではなく、『愛と誠』の早乙女愛ではないか)
と、わたしが思い始めるまでに、さほど時間はかからなかったことを告白しよう。

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いっぷく

>不良グループ同士の抗争が何度か描かれているのだけれど

その時代の「不良グループ同士の抗争」といえば、首都圏在住者なら間違いなく国士舘高校と朝鮮高級学校を思い出すのではないでしょうか。しょっちゅうニュースでやってましたね。イデオロギーの争いだったそうですから。
まあ今でこそ、始球式アイドルとか神スイングとかいわれている野球好きの女性が入ってますが、国士舘にとってはその時代は「黒歴史」だったんじゃないかとおもいます。
まだスト権ストとかいって、車両に落書きして電車を止めていた時代なので、新左翼はいろいろやってましたが、「浅間山荘」後なので過激派学生の抗争は下火になっていたかもしれません。「スト」「ゲバ」「デモ」という言葉はしばらく残りましたけどね。

>早乙女愛

私は、早乙女愛は素晴らしいとおもいましたね。ロングで耳のところをカットするヘアスタイルが実によく似合いました。彼女は松竹と契約したので、「愛と誠」後も、ずっと松竹映画に出ていますが、「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」(1975年)「男はつらいよ 寅次郎相合い傘」(1975年)「スプーン一杯の幸せ」(1975年)「青春の構図」(1976年)などは観てます。
まあたしかに棒読みでしたね、でもその後、沢口靖子を観てしまったので、そのあたりの記憶は消えましたが(笑)「青春の構図」はブログにレビュー記事も書きましたが、岡田奈々、秋野暢子、早乙女愛という3人の群像劇で、まあその中では早乙女愛の扱いが一番軽かったですけどね。でも岡田奈々も、よく見ると芝居ができていないので、似たようなもんです。でも早乙女愛の歌はちょっと……岡田奈々が「よりまし」か。
予告編がYoutubeにあがってますが、出演者は多彩で、昭和の古き良き時代の青春映画としてまずまずのできだとおもいました。いけだももこもなかなかよかったし。https://youtu.be/yuRTRQ2PWa8 
私は秋野暢子さんからツイッターのフォローをもらってますが、たぶんこのレビューを気に入っていただけたのだとおもいます。
その後、山城新伍のお手つきで、ハングマンに出たり、映画で派手なヌードを見せたりしましたが、私はあのシャワーシーンは最高のヌードだとおもいました。
大きな卵の殻の中でジタバタする卵スープのテレビCMは、何年たっても夢に出てきましたね。
「愛と誠」は映画がヒットして、テレビ東京が、夏夕介と池上季実子でやってましたが、夏夕介はともかく、池上季実子のアカぬけないこと。フグ食って死んだ三津五郎の孫だったとおもいますが、七光にもほどがあるとおもいました。でもその後を見ると、早乙女愛よりは格上ですから、やっぱり棒読みではだめなんですね(笑)
by いっぷく (2018-07-29 04:18) 

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