SSブログ

●もうすぐ平成も終わるけれど、日本に「威厳」や「風格」はどれだけあるのか?~『SWITCHインタビュー 達人達(たち)』~「岩下志麻×下村一喜」の小津安二郎の言葉とは? [「言葉」による革命]

●もうすぐ平成も終わるけれど、日本に「威厳」や「風格」はどれだけあるのか?~『SWITCHインタビュー 達人達(たち)』~「岩下志麻×下村一喜」の小津安二郎の言葉とは?

末尾ルコ「映画の話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」

秋吉久美子にあって、今の女優たちに見当たらないクオリティとして、

スケール感
ゴージャス感
肉感
そして、
反逆性

を挙げましたのもごく最近のこと、
今夜はまた「下手したら死語になる」絶滅危機日本語についてお話しましょう。

威厳
風格

どこかにあります、今の日本に、「威厳」や「風格」??

「威厳」とか「風格」とか、昨今の日本でこうした言葉に当て嵌まる存在も滅多に見当たらないですね。
誰がいます?
芸能界はもちろん、政界など他の世界でもそうそうは見当たらない。
誰もZOZO前澤社長に「おおっ!威厳と風格がある!」とは思わないでしょう。
思う人、いるかもしれないけれど。
もっと年齢が上であれば、ソフトバンクの孫正義社長に「うわお!威厳と風格に溢れたお方!!」と溜め息をつく人も少なかろう。
いるかもしれないけれど。
あるいは安倍首相・・・まあファンは多かろうが、「威厳」や「風格」とはまた違う、とわたしは思う。

というわけで、わたしはNHKの『SWITCHインタビュー 達人達(たち)』~「岩下志麻×下村一喜」を観たのである。

ご存知、岩下志麻。
そして下村一喜は年齢40代の写真家で、女性美をより美しく、強靭に写し取ることにより、国内外から熱い支持を集めているという。
そんな下村一喜も岩下志麻の信奉者。
だから二人の対談は心地よく進んだ。

ゲイである下村一喜の人生にとって極めて大きな出来事が、岩下志麻主演映画『卑弥呼』

その映画『卑弥呼』とは篠田正浩監督で、音楽は武満徹。
そして岩下志麻と草刈正雄の共演だ。
草刈正雄・・・またしても。

下村一喜は岩下志麻を「姫」と呼び、「姫」という呼称は空々しい使われ方もするけれど、この場合は下村の岩下に対するふんだんの尊敬と愛が伝わってきて好ましい。

下村一喜は『卑弥呼』だけでなく、映画鑑賞から大いなるインスピレーションを得ながら写真家としての自らを築いてきたということで、その鑑賞方法の一つが、

「気に入ったシーンを繰り返し鑑賞する」

だという。
それは「同じシーンを静止画像で観る」のではなく、「動く映像として観る」のだといい、とても興味深い話だ。
映画監督になりたいという希望もあったらしいが、現在は写真を「まるで映画のように」撮影しているという。

もちろんここでわたしは現在の日本に稀な「威厳」や「風格」を岩下志麻に見出しているわけだが、もう一つこの回の『SWITCHインタビュー 達人達(たち)』でとても印象に残ったのが、岩下志麻が語った小津安二郎の言葉。
だいたい次のような意味の言葉だ。

「人間の感情は単純ではなく、泣きたい気持ちの時に泣いているとは限らない」

そして、何を言いたいかはお分かりですね。
現在の俳優たちが強いられている演技がいかに、「人間の感情を単純化したもの」か。
そしてそれを名演技と信ずる鑑賞者(?)たちのいかに多いことか(←『チコちゃんに叱られる』の森田美由紀風に)。

nice!(24)  コメント(2) 
共通テーマ:アート

nice! 24

コメント 2

いっぷく

>「気に入ったシーンを繰り返し鑑賞する」

これは私もしますね。2番目の愚息もYoutubeの動画で、同じところを何度も何度も見てます。やはり火災で脳をやられてしまったのですが、でも会話以外は正常に働いているようで、私も知らないキーボードのショートカットをいつの間にか身につけ、両手両指を使って目まぐるしく「戻しては再生」を繰り返しています。
私の場合には、1回では理解できないということがあるのですが、何度も見ることで、違った見方をしたり気が付かなかった演出に気づいたりします。
そのため、気に入った作品は、アマゾンプライムなどネットサービスになければ、結局買うこともあります。場所も取るし、買っていたらキリがないのですが、もう少し私が頭がよければとおもいます。

ZOZOの前澤社長は、出川哲朗と岡村隆史と田中裕二と4人で500万の食事をしたそうですね。
成金で下品な感じはしますが、そういう集まり自体が、自分のコンプレックスをわざわざ告白しているようです。
炎上商法なのか、本当に下品なのか、でもまあいくらお金が有り余っていても、そういう使い方をするのは根っから下品なのかもしれないですね。
総理のくせに、批判されるとSNSでネチネチやってるのは、アメリカの大統領と似たり寄ったりです。

そういえば、タンメンは関東や東北のローカルフードでしたね。うっかりしていました。
私の母や母の弟が、ラーメンよりもタンメンを好んでいて、私のその影響を受けたようで、外食ではよくタンメンをいただきます。
グレート小鹿も、テレビでいつだったかのインタビューで、「今の若いやつは食が細い。自分たちはタンメンにご飯を付けたのに、タンメンだけで飯を食わない」といっていたので、「ラーメン」ではなく「タンメン」というところが面白いと思いました。
シマダヤの生ラーメンシリーズのタンメンは、透き通った塩味のスープが付いていて、どうみてもタンメンではなく塩ラーメンなんですね。しかも「塩ラーメン」という商品はないので、メーカーでさえタンメン=塩ラーメンという認識なんだなあと思い、ちょっと記事にしておこうとおもったわけです。
by いっぷく (2018-12-17 05:45) 

hana2018

>「威厳」や「風格」を岩下志麻に見出しているわけだが、
映画の出演時以外でも、志麻さんには凛と筋の通った風格が感じられます。。
名前は似ているけど、作家の岩井志麻子じゃないわよ。
東京の地方局である「MXテレビ」での奔放すぎる発言で知られる彼女ながら、本業である作家としても多作です。
物議をかもす言動の数々、そして作家活動と…威厳とは対極のところにいる志麻子姉さんも、根は真面目な人。実は彼女も演技派なのかもしれません。
人の感情を単純化した、演技やシーン。日本人の知性を意識的に下げる傾向、至るところで実感しています。
by hana2018 (2018-12-17 23:45) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。