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●どうなんですかね、長澤まさみの映画『潔く柔く(きよくやわく)』の設定に乗れるというのは~なんてこと吹っ飛ばす、美しき雷蔵『眠狂四郎 勝負』の素晴らしさ、そして加藤嘉の見事な助演ぶり。 [「言葉」による革命]

●どうなんですかね、長澤まさみの映画『潔く柔く(きよくやわく)』の設定に乗れるというのは~なんてこと吹っ飛ばす、美しき雷蔵『眠狂四郎 勝負』の素晴らしさ、そして加藤嘉の見事な助演ぶり。

末尾ルコ「映画の話題で、知性と感性を磨くレッスン」

長澤まさみも岡田将生も好きなのだけれど、この『潔く柔く(きよくやわく)』という映画はどうだ。
長澤まさみは幼い頃から親しくしていて、高校生になっても「自分のことを好きだ」と分かっていた男に死なれる。
しかも長澤まさみが別の男とキスをしている時、男は自転車に乗りながら彼女にメールしようとしていた、その刹那、トラックに撥ねられる。

岡田将生には小学校の時に、彼に一方的に好意を寄せる同級生の女子がいて、ある時道端で彼女を突き飛ばしてしまい、その刹那女の子は車に撥ねられる。

そんな大きなトラウマを持った人生を送っている二人が出会い・・・。

と言いますか、わたしの感覚ではこのような設定、余程上手に作ってくれてなければ、まったくのれませんが。
原作は漫画で、わたしはまったく読んだことないから、原作でどう描かれているかは分からないが、少なくとも映画では、(何、この設定?)という脱力感は観ている間忘れることはできなかった。
しかもお約束の、「出会った直後は嫌な奴と感じながらも惹かれていく」というパターン演技を展開した挙句、お約束の「癒しシーン」の大安売り・・・困ったものですな。

それに引き換え・・・と言うつもりはないが、
『眠狂四郎 勝負』を久しぶりに観たけれど、もう最高、言うことなしだ。
90分程度の間に映画のおもしろさのエッセンスが満載されている。
監督は、三隅研次。

『眠狂四郎 勝負』を、そして映画『眠狂四郎』を語るときにどれだけ市川雷蔵を熱く語っても足りないし、いったい今までにどれだけの人がその壮絶なまでの美を、奥深い耽美を語ってきたことか。
リアルタイムの雷蔵とは程遠い時代に生まれたわたしが語る資格などないようなものだが、それでも語りたくなる。
それが市川雷蔵の凄まじい魅力であり、「熱烈」を呼ぶ魅力である。

『眠狂四郎 勝負』の女優陣は、藤村志保、
藤村志保、高田美和、久保菜穂子。
藤村志保は神秘的な女、高田美和は蕎麦屋で働く庶民的な女、久保菜穂子は悪い女と、バランスの取れた配役で、「狂四郎=雷蔵」の周囲を彩る。

あ、別に「女優が男優の周囲を彩る構図がよい」と言ってるわけじゃないですよ。
作品によっては、そうした構図がとても有効に働くというお話。
もちろん作品によっては、男女の構図が逆であってもいいわけです。

『眠狂四郎 勝負』の作品的魅力を力強く支えている俳優が、狂四郎と友情を交わす勘定奉行を演じる加藤嘉だ。
同作品中では分かりやすいパターン演技を披露しているとも言えるけれど、90分程のエンターテインメント映画の中で魅力的にパターン演技を炸裂させてくれる俳優がどれだけ貴重であるか。
加藤嘉は山田五十鈴の夫でもあったのだという。

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いっぷく

>潔く柔く(きよくやわく)

例によって最近のものは全くわかりませんが、大映ドラマにもないような設定ですね。

>しかも長澤まさみが別の男とキスをしている時、男は自転車に乗りながら彼女にメールしようとしていた、その刹那、トラックに撥ねられる

ネットの炎上商法狙いの設定かと思ってしまいました。

>久保菜穂子は悪い女

これは笑い転げました。ピッタリのキャスティングですね。

>加藤嘉は山田五十鈴の夫でもあったのだという。

芸能人の離婚について昔の週刊誌などを調べたとき、壮絶な別れ方を知りました。
同じ空気を吸うのも嫌だとか言い合ってましたね。
まあお互い、気の強い者同士ですし、平幹二朗と佐久間良子のような嘘くさい円満離婚会見なんかよりはよほどリアルで面白かったと思います。
その頃は、役者としては山田五十鈴>加藤嘉でしたが、その後加藤嘉は実績を積み上げました。
砂の器にしても、後半の加藤嘉のシーンがすべてを食ってしまった感動巨編に出来上がりましたが、本当は丹波哲郎と森田健作の、泥臭い刑事物語のはずなんですよね。
新幹線大爆破が、宇津井健の話だったのに、高倉健が「自分も出してくれ」と割り込んできたために、高倉健主役に脚本を書き換えて調整が大変だったらしいですが、砂の器が脚本の直しがあったかどうかは確認できないものの、監督としては加藤嘉のところで嬉しい誤算だったかもしれません。
あれのおかげで島田陽子の初ヌードの話題まで埋没してしまいました。

>結局上下ともに新しい入れ歯を作ることになりました。

それは何よりです。眼鏡と同じで、生涯同じものを使い続けるということはまずないので、定期的な検査と作りかえは必要ですね。
私の母は、入れ歯を入院中に失くしたということで作り直しました。
でもあとになってから出てきたのですが、歯茎や両隣の歯の状態が微妙に変わっているでしょうから、もう使えないと思います。3ヶ月ぐらい間を空けないと次は保険で作れないといわれました。

by いっぷく (2019-02-07 05:27) 

hana2019

眠狂四郎シリーズは数本観た記憶があるのですが、「眠狂四郎 勝負」は、我が記憶に残っておりません。藤村志保と加藤嘉は、市川崑監督「破壊」でも雷蔵と共演。…と言いますか、「破壊」がデビュー作であった藤村志保、彼女は作中の役名を芸名としています。
モノクロ画面の中で、雷蔵=丑松のひと際輝く白い顔。その容姿は勿論、部落民とさげすみの対象となる丑松の正く、品の良い言葉使いのなんと美しい事。
女優として品は感じるものの、万人受けするとは思えぬ藤村志保の声、しかし年齢を重ねるごとに品格が出て、彼女が出ているだけでたとえそれが昼ドラであれ、またあの映画「陰獣」であっても、出演シーンが魅力的に見えてしまうのです。

加藤嘉は晩年の・・・と言っても、もっとお年寄りと思い続けておりましたら、亡くなったのが70代…と言う事は、現在の私よりも少し上くらいであった。
「橋のない川」「砂の器」「「八甲田山」「八つ墓村」「復讐するは我にあり」「ふるさと」辺りまでは本当にその通りなのです。
ダム建設により消える土地と家。地味なストーリー、キャトの「ふるさとは」、今の地方がかかえる状況を描いた心にに凝る作品です。
加藤嘉が山田五十鈴と結婚をしていたのは全く知りませんでした。
テレビでは田村正和、片岡孝夫と、眠狂四郎を演じていますが、雷蔵の存在には遥か及ばない、それは言葉にするまでもないと思われます。
by hana2019 (2019-02-07 17:48) 

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