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●深作欣二監督『県警対組織暴力』のハイパーに酔い痴れつつ、石井和彌監督『孤狼の血』の役所広司との共通点を顧みながら、「真珠」グロシーンなどについても語るよ。 [「言葉」による革命]

●深作欣二監督『県警対組織暴力』のハイパーに酔い痴れつつ、石井和彌監督『孤狼の血』の役所広司との共通点を顧みながら、「真珠」グロシーンなどについても語るよ。

末尾ルコ「映画の話題で、知性と感性を磨くレッスン」

『県警対組織暴力』!
別に『週刊実話』の表紙じゃないですよ。
深作欣二監督の、え・い・が!
そう、深作欣二『県警対組織暴力』というそのものズバリのタイトルの作品を鑑賞したのです。
もちろんいつもの深作節炸裂。
止まることのないハイパースピードの画面展開、俳優たちも長々と台詞を喋ることなどなく、気を許す暇もなくアクションシーンが連打される。
アクションシーンが常に軽快なのも深作作品の大きな特徴。
どれだけ銃撃しようが、どれだけ殴ろうが蹴ろうが指そうが、それだけ殺傷沙汰が起ころうが、決して重くならない。
そいて常に俳優たちが画面全体として動いており、ほとんど止まることはない。
画面の隅々までの俳優たちの動きはあくまでカオスな状態のままおかれ、決して様式美に流れない。
深作欣二はまるで、敢えて「美」を拒否しているかのようでもある。
そして豪華俳優人たちが入れ代わり立ち代わり画面に現れる贅沢さ、密度の濃さ。
『県警対組織暴力』も、菅原文太、松方弘樹、梅宮辰夫を中心に、じゃかじゃかわんさっわんさと名優、曲者俳優が登場する…映画を観る大きな贅沢の一つだ、これは。

いやね、比べちゃ何なのだけれど、『ちはやふる 結び』っていう映画があって、まあ広瀬すずは人気だけでなく才能もあるので出演作はできるだけチェックしているのだけれど、この作品の若手中心俳優陣のスカスカ感といったらなかった。
(うわあ~~、空気が薄い!)と、そんな感じ。

それはさて置き、『県警対組織暴力』は、「社会を総体として安全にしていくためには、ある程度以上裏社会と癒着しても致し方なし」という哲学を持つ菅原文太が主演なのだが、この役どころは『孤狼の血』の役所広司円いる刑事のアイデンティティとほぼ同じ。
この平成30年に菅原文太と役所広司の役どころの共通点を感じられるなんて、これまた映画を観続ける快感である。

『孤狼の血』はところで、かなりエグいシーンがいくつとなく用意されており、鑑賞前には注意が必要だし、カットなしの地上波放送は不可能だろう。

例えば、

・豚の糞を喰わせる
・リアルな腐乱死体
・「アレ」に埋め込まれた真珠を抉り出す

特に「真珠」のシーンは、エログロに馴れているわわたしでも、(あら~、ここまで見せるのか・・・)と感じた次第。

石井和彌監督作品。

『凶悪』も『日本で一番悪い奴ら』も『彼女がその名を知らない鳥たち』もとてもおもしろいです、はい。

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いっぷく

県警対組織暴力は、仁義なき戦いシリーズとはとは少し違う作り方なのです。どう違うかというと、植木等の無責任男シリーズと日本一シリーズの違いに似ています。
東宝では、無責任では困るということで、モーレツ社員という社畜型にかえましたが、仁義なき戦いは完全に暴力団の世界に入ったものだったので、少し離れたところから裏社会を見るというふうにスタンスが微妙に変わっているのです。仁義なき戦いは飯干晃一が「原作」ですが、「山守組」の当事者が原案者でしたから、あまり大幅には変えられなかったし、たぶんその世界の人達のバックアップもあったとおもいます。

>『孤狼の血』は

これは未見ですが、「家族」の焼き場シーンで眠れなくなってしまうような私は見ないほうがいいですね。
新仁義なき戦いで、桜木健一が菅原文太を裏切って、怒った菅原文太が桜木健一を射って、死後硬直どころかまだ死んでないかもしれない状態で燃え盛る焼却炉に放り投げるシーンだけで、やっぱりショックでした。


>自由を恐れている」ところがあるのではないでしょうか。

全くおっしゃるとおりだとおもいます。

>四角いジャングル 格闘技世界一

これは確か、プレ日本選手権が収録されていましたね。
ストロング小林が、サンダー杉山に下駄で殴られまくって、ストロング小林が憮然とした表情のシーンを覚えています。確かに下駄は痛そうでしたが、「四角いジャングル 格闘技世界一」というタイトルの映像で見せる試合なのかなという気はしました。
子供の頃、巨人がV10を逃して中日が優勝したときの映像もタイトルは失念しましたがスクリーンで見ました。
堀内が打たれてがっかりしている表情がアップになったときは、迫力を感じました。たしかにスクリーンは素晴らしいです。

そういえばプレ日本選手権のとき、大会前のインタビューをテレビで流していて、上田馬之助が、「まあ、このシリーズはヒロ・マツダを上にするんでしょうが……」というようなことをポロッと言って、まるで演じるドラマの筋書きを予想するように聞こえましたが、まだこの時点ではプロレスに対して100%幻想を捨てたわけではなく少し残っていたので、「聞き捨てならない」と思いました。上田馬之助は不器用で寡黙なのかとおもったら、余計なことをペラペラ話す人なんですね。
by いっぷく (2019-02-17 05:00) 

hana2019

残念なことにどれも観ておりませんでした。
深作欣二監督作品もほぼ観ていない有様ながら、記事中に表現されている、ケレンミたっぷりな演出、豪華俳優人のノンストップアクションシーンの連続はまさに。
石井和彌監督作品「虎狼の血」は、書かれている内容からも興味津々です(笑)
役所広司は当然、松坂桃李も映画の世界ではテレビドラマとは別のキャラになるいい仕事ぶりが続いていますから。
ピエール瀧も「凶悪」では、別人となって楽しませてくれました。
警察、検察の手段を選ばない、自らの点数をあげる為の数々の汚いやり口は、敵対するヤクザと同じ。警察小説で学習済みの私です。
実生活でもある些細な詐欺に関わってしまい、犯人の特徴をよく覚えていた為に、しつこく続いた警察署への呼び出し。あげくには裁判への協力まで求められてキレた経験がありました。
by hana2019 (2019-02-17 11:25) 

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