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●我が母、心臓バイパス手術後、大転子部不全骨折後闘病記&退院後日誌108日目~デイケアさんと『シェルタリング・スカイ』のお話。~淀川長治さんの「愛をまさぐって、まさぐって」。 [「言葉」による革命]

末尾ルコ「母の話、健康医療・介護福祉の話題、映画の話題」

1月17日(金)手術後304日目
退院後109日目

1月16日は午前中デイケア、午後は毎月1回のケアマネさん家庭訪問だった。

映画好きのケアマネさんとして当ブログでもすっかりレギュラーとなっている女性だが、今回もとても元気で、愉しくお話させていただいた。
母もこのケアマネさんをとても気に入っており、これまではわたしとケアマネさんががんがん話しているのを横で聴いているのが主だったけれど、今回は積極的に話に加わり、とてもいい感じだった。
ケアマネさん、「これは~さん(←わたし)に言わなきゃと思ってきたんですが」という振りで、
「新年一本目の映画を何にしようかと考えて、~さん(←わたし)が薦めてくれた『シェルタリング・スカイ』にしたんです」と来ました。
「『シェルタリング・スカイ』、いいじゃないですか。正月に相応しい!」と、わたしも思わず喝采しようとしたくらいだが、
「いや~、あんな映画だとは思わなくて」と
どうやら彼女の予想や理解をいささか超えていた内容だったようである。

『シェルタリング・スカイ』とはベルナルド・ベルトルッチ監督の作品、原作はポール・ボウルズ、出演はデブラ・ウィンガー、ジョン・マルコヴィッチらで、音楽は坂本龍一、撮影はヴィットリオ・ストラーロ。

ストラーロが撮影した砂漠はあまりに官能的で、ひょっとしたら映画史上最高に官能的な砂漠?

ケアマネさんは映画『シェルタリング・スカイ』のその展開に圧倒されたようだ。
(どうしてそこであの人が死ぬの?)
それでもストーリーは分かりやすくされており、わたしの母は初鑑賞の際に号泣していた。

『シェルタリング・スカイ』公開時には、かの淀川長治が惚れ込んで、テレビCMで「愛をまさぐって、まさぐって」というフレーズを唱え、少しでも多くの人たちを映画館に向けようとしていた。

「愛をまさぐって、まさぐって」

淀川長治は令和の世界にはいない。
かつて蓮實重彦は「文学の世界に一人の淀川長治がいれば」と言った。
それほどまでに淀川長治の影響力は大きく、敬愛されていた。

現在映画評論家に限らず評論家・批評家などが無視されがちだけれど、「ユーザーレヴュー」をアテにし過ぎる風潮は言うまでもなくとても危険である。

・・・

2020年アカデミー賞作品賞候補は、例年以上に毒のある顔ぶれが揃っていて愉しくなるけれど、「毒」をもたらしているのは3つの作品、『ジョーカー』、『アイリッシュマン』、そしてポン・ジュノの『パラサイト』だ

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コメント 3

ニッキー

淀川長治さんのあの独特の喋りで紹介されると
「面白そう」って見たくなりました(*'▽')
最近はああいう評論家とかはいらっしゃらないのかな?
by ニッキー (2020-01-20 07:07) 

(。・_・。)2k

ケアマネさん 月1なんですか
もっと逢いたいですね

by (。・_・。)2k (2020-01-20 10:57) 

hana2019

砂漠を舞台にした「シェルタリング・スカイ」は、「イングリッシュペイシェント」と共に好きな映画です。「ラストエンペラー」でオスカー受賞後に撮った本作、その後の「シャンドライの恋」も鑑賞済みながら、やはりこちらが全盛期の一本に感じられます。
砂漠へ行くのは遠慮したいですけど、何一つない大地が続く広大な自然を映した映像、そこに生きる困難さを想像するだけで、観る分には美しいと感じます。
ジョン・マルコヴィッチはずっと以前から好きな俳優の一人、先頃観た「生きてこそ」でもナレーションで出演していました。
山ほどスーツケースを抱えて旅に出た夫婦が、旅する道中に気持ちが変化していく。砂漠の商隊の女にまで落ちていき、見つけられ保護されたに関わらず、ラストシーンでは自ら逃げてしまう妻役のデブラ・ウィンガーも良かった。
一定年齢に達した女優たちに映画出演の機会がないと言うのは、本当ですね。
by hana2019 (2020-01-20 11:35) 

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