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小説 瑛次、神秘のアンチエイジング 79 退屈  [小説 瑛次、神秘のアンチエイジング]

そう言えば、「坂本龍一のファン」というだけで余裕綽々の男もいたっけ。
「やっぱいいねえ。パリだねえ。これアンニュイって言うんでしょ」
あまりに素朴すぎる瑛次の声。
クレモンティーヌをかけると、すぐに良子は自分の想念の世界に没入する。
クレモンティーヌなど、遠の昔に、見なれ過ぎた家具ほどにも心に波風を起こさない。
波風どころか、もはや「日常」を「日常」以下の景色にさえ変えている気がする。
そうだ、クレモンティーヌを「退屈」と言う意味でアンニュイと表現するのなら合っているかもしれないが、「優雅な物憂さ」とはもはや無縁。
けれどクレモンティーヌを聴いて、「優雅な物憂さ」を感じる人も多いのだろうな、といつも良子は軽くため息をつく。
「そうだ、あいうえお体操してみない?」

※この作品の中には現実のアンチエイジング方法や健康法などが出てきますが、その作品中で言及される効果などに関してはあくまで小説上のできごと、つまりフィクションであるとお考えください。
実際の効果には、個人差などがあるものだと思われます。

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