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〈「言葉」による革命〉・・・●末尾ルコ「文学論」~三島由紀夫「作家論」を読み、だから内田百閒の「件」も読んで充実さ!2016年10月17日 [「言葉」による革命]

・三島由紀夫の「作家論」をペラペラと読み返していて、いや、やっぱりおもしろい。
中公文庫から出ていますが、森鴎外、川端康成、谷崎潤一郎、泉鏡花、外村繁、上林暁、武田麟太郎ら、現在でも著名な文豪から、やや一般的には知られなくなった作家まで、とても分かりやすく論を展開している。
まあ人によって印象は違うかもしれませんが、わたしにとって三島由紀夫は、「とても分かりやすく魅惑的な文章」を書く作家として、繰り返し読みたくなる一人なのです。
今回「作家論」の中で、三島が内田百閒の作品を、「芸術とはこういうものだ」「当代稀な純粋作品」とまで書いているのを読み返し、当然即刻百閒作品をまた読みたくなり、本棚から引っ張り出して取り合えず「件」を読んだ。
いや、いいですねえ。
なぜか「件(くだん)」になってしまった人とその周囲で起こる出来事を、ムズが思惟表現は一切なく、しかし濃厚に興味深く描いている。
読めばもう忘れられない、しかもその場にいて「件」を見ているような、幻想小説でありながら現実を目の当たりにしているような、そんな見事な作品です。

ところで「件(くだん)」ってご存知でしょうか?
顔は人間、身体は牛という怪物、あるいは物の怪とでも言うべき存在です。
「件」は天変地異にまつわる不吉な予言をする存在としても知られています。
水木しげるではないけれど、かつて多くの日本人の心にあった妖怪、物の怪たちの存在は、「日本人の心性(メンタリティー)」を考え、さらに未来へ向かうためにも意義あることです。

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