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〈「言葉」による革命〉・・・●末尾ルコ「映画であなたの人生をより強靭に美しくする」講座~ヴァンパイア映画に必要なのは、エロスとタナトスと、そして?『ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女』、あるいは『ナディア』。2017年4月9日 [「言葉」による革命]

●末尾ルコ「映画であなたの人生をより強靭に美しくする」講座~ヴァンパイア映画に必要なのは、エロスとタナトスと、そして?『ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女』、あるいは『ナディア』。

・ヴァンパイア映画といえば、期待して観たのに予想外にわたしの好みではなかったのが、

『ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女』。

監督は、アナ・リリー・アマポアー。
イラン系アメリカ人で、「イランの架空の町」が舞台のモノクロ映画ということで俄然期待は盛り上がったのだが、観賞しての印象は「ジム・ジャームッシュ風」・・・しかしジャームッシュには遠い。
ヴァンパイアであるヒロインにカリスマ性がなく、ストーリーにも入れない。
ジャームッシュは近年、カラーで『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』という見事なヴァンパイア映画を撮っており、出演はティルダ・スウィントン、トム・ヒドルトン、ミア・ワシコウスカという見事なキャスティング。
ハイクラスなヴァンパイア映画にぜひあってほしい濃厚なエロスとタナトス、さらに「時間からの調節性」など、隅々まで愉しめる内容だった。
『ザ・ヴァンパイア 残酷な牙を持つ少女』は『ダリオ・アルジェントのドラキュラ』的なB級ホラーの楽しさではなく。ハイクラスなヴァンパイア映画を志していたのは間違いなく、だからこそ不満は小さくなかった。
期待値はとても高かったのだから。

ジャームッシュの『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』のごとく、ティルダ・スウィントン、トム・ヒドルトン、ミア・ワシコウスカと、ずらり「ヴァンパイア映画に相応しいスター」を揃えていれば言うことないが、そうでなくても素晴らしいヴァンパイア映画はできるのであって、わたしの大好きな一本が、マイケル・アルメレイダ監督の

『ナディア』。

ビッグネームはピーター・フォンダしか出ていないけれど、モノクロのニューヨークを舞台とした作品の中で女ヴァンパイアを演じるエリナ・レーヴェンソンが素晴らしく、

エロスとタナトス
時間からの超越
孤独
宿命

など、ヴァンパイア映画に盛り込んでほしいクオリティが文句なしに満たされていた。


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