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〈「言葉」による革命〉・・・●末尾ルコ「映画であなたの人生をより強靭に美しくする」講座~『センチメンタル・アドベンチャー』、そして『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』・・・共通点は、「見事な映画」!2017年4月13日 [「言葉」による革命]

●末尾ルコ「映画であなたの人生をより強靭に美しくする」講座~『センチメンタル・アドベンチャー』、そして『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』・・・共通点は、「見事な映画」!

クリント・イーストウッド監督は『センチメンタル・アドベンチャー』が驚くほど見事にできた映画だ。
カントリー歌手をめざしナッシュヴィルに向かう男。
いくつかのいきさつにより、甥とともに旅をすることになるのだが、実は男はかなり深刻な病に犯されている。
もちろんお涙頂戴などになるはずもない。
しかしラスト、胸に込み上げてくる。
そこに本物の図太いストーリーがあり、本物の図太い人間が描かれているからだ。
リアリズムを重んじる作品ではない。
なのに生の人間が浮かび上がってくる。

もう一つ、『センチメンタル・アドベンチャー』に描かれた土着的な人たちとはまったく違う世界。
デンマーク王室の中の話。
ニコライ・アーセル監督の『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』。
これまた感嘆するほどよくできた映画だ。

18世紀のデンマーク王室。
「デンマークの歴史物」というだけで、興味をそそる。
しかしある国の歴史を映画にして、他国の人たちまで愉しめる作品とするのは難しい。
米国やフランスなど、特別に世界中でよく知られた国の歴史物でも上手くさばけずに、分かり辛い出来になってしまった歴史映画も数多い。
ところが『ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮』は観始めたが最後、2時間10分以上の時間、ぐいぐい引っ張られてしまう。
文句なしにおもしろい。
啓蒙主義が欧州各国に行き渡ってきた時代風潮。
ルソーやヴォルテールの名が出てくるのも楽しい。
実話を基にしたストーリー。
デンマーク王クリスチャン7世とその王妃キャロライン・マティルダ・オブ・ウェールズ。
しかしクリスチャン7世は精神を病んでおり、夫婦の関係も上手くいかない。
そこに侍医として、ヨハン・フリードリヒ・ストルーエンセが現れるが、単なる侍医ではなく、啓蒙思想の持ち主だった。

俳優の力は大きく、キャロライン役のアリシア・ヴィキャンデル、ヨハン・ストルーエンセ役のマッツ・ミケルセンという、今や「世界の」スター俳優を二枚看板とし、さらにクリスチャン7世演じるミケル・ボー・フォルスゴーも素晴らしい。
洗練された衣装も含め、必見の一本だ。


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