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●ブルーザー・ブロディから「ハウハウッ」を取ったら何も残らなかったのか?あるいは「強さNo1」という幻想。 [「言葉」による革命]

●ブルーザー・ブロディから「ハウハウッ」を取ったら何も残らなかったのか?あるいは「強さNo1」という幻想。

末尾ルコ「プロレスの話題で知性と感性を鍛えるレッスン」

かつて新日本プロレスファン、とりわけアントニオ猪木ファンの間では、「スタン・ハンセンもハルク・ホーガンも猪木が育てた」という「説」が当然のように罷り通っていた。
例えば『ロッキング・オン』の松村雄策も当然のようにそうしたことを書いていた。
確かにスタン・ハンセンは米マット界では不遇だったし、ハルク・ホーガンはまだ新人的ポジションだった。
米マットでメインイベンターとして大活躍していなかった二人が猪木との試合から学んだことは確かに少なくなかっただろうが、その度合いはどれだけのものだったのか、興味のあるところだ。
当時の日本ではまだまだ「プロレスラーの強さ」に重きを置いているファンが多くを占めており、「実際に強いのは・・・」という会話がよくされていたし、プロレス紙誌の投稿でもそんな内容が多かったものだ。
つまり当時の基準を使うのであれば、AJスタイルズやケニー・オメガはあくまで「アクロバッティクな大技を駆使するおもしろい選手」であって、体格的にもジュニアへヴィーが相応しく、「外国人エース」扱いはされなかった可能性が高い。
では当時の日本人プロレスファンの多くは主力外国人レスラーの「強さ」をどう見ていたのか。
もちろん人によって意見は異なるだろうが、次のような序列で捉えていていた人が多かったと思う。

1ブルーザー・ブロディ
2アンドレ・ザ・ジャイアント
3スタン・ハンセン

大きく離れて、

ハルク・ホーガン 

この場合の「強さ」というのは、「本気で喧嘩に近い試合をしたら」、つまり「セメントをやったら」というものであり、確かに多くのプロレスファンは、「ブロディは本気を出したら、めちゃめちゃ強い、ハンセンよりもずっと強い」という幻想を抱いていた。
実はわたしも何となくそう思っていた(笑)。
ブルーザー・ブロディの試合には常に不満を抱いていたのだが。
なにせどんな試合でも「ハウハウッ」吠えてかなりの間を作る。
(いつか「ハウハウッ」吠えない試合をやってくれるだろう)などという期待はなかなか叶えられなかった。
唇を歪めて「ハウハウッ」で普通真っ先に連想するのがキング・イヤウケアであり、到底「シリアスな強豪レスラー」がやり続けるパフォーマンスではないと思っていたのだが、ブロディ本人としては、「ハウハウッ」無しの「プロレスラー ブルーザー・ブロディ」はあり得なかったのかもしれない。

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いっぷく

顔を歪めるところだけでなく、額を傷だらけにするところもイヤゥケアのひそみに倣ったのでしょうね。
日本で、イヤウケアとツアーをともにし、イヤウケアの日常とリングの違いを見て、「これだ」と思ったのかもしれませんね。
ブロディの美学かもしれませんが、薫陶を受けた人に従うというところがあって、全日本から新日本に行ったのも、エリックが新日本と提携したことが大きな理由と言われています。イヤウケアも師匠の一人として、真似したかったのかもしれません。
ブロディはプライドが高いといわれているのですが、必ずしもチャンピオンであることにこだわったわけではないと思うのです。その団体を潤すためにもっとも不可欠な存在になり、その団体を救うという意識があったのではないかと思います。それは、やっぱりヒールのナンバーワンなんじゃないでしょうか。アメリカ時代の馬場のようなポジションですね。馬場がリングで四股を踏む事があったように、ギザギザ額の顔を歪めて鎖を振り回すのは、そういうことではないかと思うのです。
ところで、強いという意味では、例の事件の実績から、ビル・ミラーとカール・ゴッチは入りませんか。
不思議なのは、2人がグレート・アントニオに続いて、アメリカでロジャースを成敗したとき、馬場はロジャースのピンチヒッターを努めたロジャース軍団の一人だったにもかかわらず、馬場は2人には目をつけられず、むしろビル・ミラーからは、有望なレスラー扱いだったことです。
ロジャースは、自分をよく魅せるために相手に犠牲をしていたようですが、進取の気性に乏しい馬場は、おとなしく相手をたてる謙虚なプロレスに徹していたのかもしれませんね。
by いっぷく (2017-06-24 16:47) 

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