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●悲願の全仏オープン優勝、「最も偉大なルーマニア人」シモナ・ハレプの「美」と「ドラマティック」とは?そして日本人女子ランキングは? [「言葉」による革命]

●悲願の全仏オープン優勝、「最も偉大なルーマニア人」シモナ・ハレプの「美」と「ドラマティック」とは?そして日本人女子ランキングは?


末尾ルコ「テニスの話題で、知性と感性を鍛えるレッスン」


※NHKのワールドカップ 日本VSコロンビア戦放送の番組欄を見たら、次のような文言が載っていた。

「あなたはどこで、誰とこの一戦を見ますか?」

・・・こういうバカなコピー、止めてほしいんですけど。

それはさて置き、

わたしは子どもの頃からいろんな国に興味があって、さらにティーンエイジの時代は日本よりも諸外国の方にばかり関心が行っていた。
だからと言って、それら国々をどんどん訪ねたわけではないが、例えば、東ヨーロッパに興味が集中していた時期もあった。
主にチェコスロバキア、ハンガリー、そしてルーマニアらが中心だった。
ルーマニアに関しては、ロサンゼルス五輪女子体操でエカテリーナ・サボーが米国のメアリー・ルー・レットンと金メダルを争い敗退した展開が強烈な印象だったが、それ以前に、ソ連を含む東欧共産圏が大会ボイコットを決め込んだ中で、「独自路線」を歩むルーマニアは参加。
派手な開会式の中、ルーマニア選手団が入場してきた時の米国観客の大歓声はいまだ耳に残っている。
ソウル五輪では、ダニエラ・シリバシュとオーレリア・ドブレというチャーミングな2本柱を擁してソ連に挑んだが、個人総合最終種目でシリバシュがシュシュノワに敗北。
その時テレビ画面に大写しになったシリバシュの大きな目からの涙を忘れられるはずもない。
その後、ソ連を含む共産圏の崩壊の流れの中、独裁者チャウシェスク政権が倒れ、チャウシェスク大統領は夫人とともに射殺される。
処刑された直後のチャウシェスクの顔が全世界のニュース番組を駆け巡ったのも恐るべき時間だった。

こうしてわたしの印象に残っていることがらだけでも、ルーマニアはとてもドラマティックな国である。
「ローマ(帝国)の末裔」を自認し、東ヨーロッパで唯一ラテン系の言語を持ち、『ドラキュラ』のモデルとなったブラド・デペシュ公の故郷でもあるルーマニアは、チャウシェスク時代に「みなしご部隊」を設けていたという情報も、現代に中世的なまでに非合理な社会を営んでいたイメージをわたしたちに植え付け、無責任にロマネスクな想像を広げてくれた。

さてそのルーマニアだが、21世紀は「シモナ・ハレプのルーマニア」である。

2014年全仏オープンでマリア・シャラポワととてつもない死闘を演じ、準優勝になった試合を含め、グランドスラム決勝で3度に渡り敗退。
特に昨年の全仏で当時ノーシードのエレナ・オスタペンコの衝撃的な爆発力に逆転負けを喫してからは、世界中から(ハレプ、今度こそ優勝してくれ!)という有言・無言の後押しが強まるばかりだった。
そして2018年全仏、対戦相手がべいこくの、これまたすぐに映画出演してもおかしくないまでに強く美しいスローン・スティ―ブンスであってのよかった。
しかも第1セットは圧倒的身体能力を誇るスローンの強烈なショットに圧倒され、(これはとてもじゃないが太刀打ちできない。2セットで簡単に負けるに違いない)と思わせるような展開から、第2セット途中より、「技」で相手の「パワー」を徐々に崩していき、第3セットは逆にハレプが一方的に押しまくって勝利を収める。

まるで夢を見ているような戦い・・・シモナ・ハレプがいつも創り出してくれるのが、それだ。

わたしにとってとても大切なこと・・・テニスのシングルスは、「1対1の戦い」である点、多くの格闘技と同様である。

Simona Halep vs Sloane Stephens - Final Highlights I Roland-Garros 2018(https://www.youtube.com/watch?v=VBc_XRYzZy4

ちなみにWTA女子ランキングの1位はこのシモナ・ハレプだが、日本女子を見ると、大坂なおみが18位!!!!!これは凄いことですが、他の日本勢は、100位奈良くるみ、121位日比野菜緒、162位加藤未唯、188位今西美晴、189位穂積絵莉、197位日比万葉と、何と数年前にグランドスラムシードまで上昇した土居美咲は200位内にさえ入ってない。
世界女子テニスはかように厳しい世界なのである。

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いっぷく

>主にチェコスロバキア、ハンガリー、そしてルーマニアらが中心だった。
それらの国々については、失礼ながら違いがよくわかりませんでした。たとえば
>ルーマニアに関しては、ロサンゼルス五輪女子体操でエカテリーナ・サボー
プロレスラーのサンダー・ザボーは、同じ「ザボー」でもハンガリーですし。

それはともかく、テニスはさっぱりなのですが、ビリヤードと違って女子選手の層が厚いというお話ですね。
ビリヤードも、大きな大会でポーンと上位に出てくる人がいるのですが、いつの間にかやめちゃうんですね。ビリヤードにもプロ協会があり、その下部組織にレディースがあり女子プロもいて、さらにアマチュアのレディース団体などもあるのですが、せっかくいいところまでいっても、寿引退とか、逆に離婚引退とかあります。もったいないとおもいます。
ビリヤード女子は、ボーイフレンドに連れて行ってもらって覚える、その人とは別れてもまた別の男子選手と付き合う。女子選手に影にはいつも誰かしら男子選手がいる、という感じです。球の世界は一般社会から切れていて、夜やってますでしょう。普通の人がデートするときに球撞いてますから、球の世界の人との出会いしかないんでしょうね。
そういう人は、パートナーの男子選手さえ成功したら、別に自分はいいやという人もいるし、元夫が別の女子選手と再婚したことで、大物選手ですら嫌気が差して足を洗ってしまうというケースもありますね。
私がかかわっていた当時の、国内女子ナンバーワンと男子ナンバーワンが結婚したのですが(どちらもプロ)、別の女子プロにその男子ナンバーワンが走ってしまい、子供もいたのに離婚。一時期女子ナンバーワンは居づらくなってプロ協会も脱退。その後思い直して復帰はしたのですが、いちばんいいときにブランクが長く、もうナンバーワンには返り咲けませんでした。
「天職」に出来ないのは、マイナーだからというのはあるとおもいます。ゴルフの古閑美保が5億6000万稼いだといいますが、男子プロは、月1回のプロツアーで優勝がたしか30万円、あとはアマとのオープントーナメントがありますが、こちらはもっと安くてせいぜい20万円。プロ協会に入っていると、協会費もありますし、大会のエントリーフィーもありますから、普通はビリヤード場を経営したり、コーチや職員としてはたらいていたりしており、「トーナメントプロ」というのは存在しないと言っていいとおもいます。
私は、ビリヤードのゲームの緊迫感とか、好きですけどね。世間の方々の評価は、あまり高くないんでしょうね。
by いっぷく (2018-06-21 04:06) 

hana2018

チェコスロバキア、ハンガリー、そしてルーマニア・・・と言った東欧諸国。距離的にはパリやロンドンよりは近いはずなのに、知識がないばかりに私達は、東ヨーロッパと一括りにしがちです。
この三国の中ではチェコの歴史的建造物、中世の街並みの美しさで一際抜きんでている感じが。
ハンガリーは農業国として、ワインや蜂蜜、また羽毛の生産地として名高いものの、肝心のルーマニアは、ドラキュラ伝説の元となったトランシルヴァニア地方の「ブラン城」を別として、近年ではチャウシェスク独裁時代に建設された異様とも言える巨大な宮殿、対する国民の惨めな暮らしと言った、退屈なイメージばかり先行してしまうものながら。。
そうした悪しき面ばかりが強調されるものの、そこには私達が想像する以上に普通に日々の暮らしが営まれていたはずです。それはルーマニアに限らず世界のどこにおいても、そうして生き抜く人間は強さ、逞しさをもち合わせているものなのだから、なーんて思ってみました。
by hana2018 (2018-06-21 14:25) 

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