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寄る辺のない猫の朝 [生と死のためのアート]

朝。
寄る辺のない猫が道端にいる。
体にはところどころ傷があり、毛がなくなった部分は地肌が露出している。
まだ寒さの残る4月の朝だ。
寄る辺のない猫は痩せてはいないが、寒そうだ。
やや太り気味の体を丸くして、家の壁にピッタリと沿っていた。
家の壁といっても寄る辺のない猫とは何の関係もない家。
どこにも寄る辺のない猫を飼おうなどという家はない。
寄る辺のない猫に家はないのである。

寄る辺のない猫は4月の寒空の下、風邪をひいているように見える。
寄る辺のないはつらい体を抱えながら、無情な世界について恨みがましくさえなく諦念と共に想いを馳せている、きっと。

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